2017年07月22日

風の又三郎

「風の又三郎」                      宮沢 賢治
★★★★★



谷川の岸に、小さな小学校があった。生徒が少ないので、全体でたった1クラスしかない。

ある朝、1年生が学校に行くと、赤い髪の見慣れない少年が席に座っていた。生徒たちは誰もその少年のことを知らなかった。ある生徒が、その少年は「風の又三郎」ではないかと言い出す。その少年は転校生だったが、他の子供たちは黒い髪に着物なのだ。その少年は赤い髪に洋服なので、特に目立つ。

あまりにも他の子供と違うため、生徒たちは又三郎(本名は三郎)を素直に受け入れることができない。三郎が来ると風が吹く、と子供たちは信じている。

それでも、しばらくすると子供たちは三郎と遊ぶようになり、一緒に一郎(6年生の生徒)の兄が働く牧草地に行く。しかし、遊んでいるうちに、そこの馬たちが外に逃げ出し、それを追った一郎たちは道に迷ってしまい・・・。

ミステリアスな雰囲気の三郎。絶え間ない自然の変化。そんな物語を読み進めていくと、三郎は確かに「風の又三郎」的な雰囲気を身につけているのを実感する。

子供のころ、心がざわざわするのを感じながらこの話を読んだなあ、と懐かしく思いだした。
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2017年07月15日

ヘリオット先生奮戦記

「ヘリオット先生奮戦記」               ジェームス・ヘリオット
★★★★★



主人公は新米獣医のヘリオット。今日は牛の出産の手伝いをする。かなり苦戦したが、何とか小牛を引っ張り出すことができた。

ヘリオットを雇っているのはファーノンという獣医である。ヘリオットが大学の獣医学部を出たのが1937年。その年は仕事口がなく、80人で2、3の仕事を取り合う状態だった。しかし、幸運なことにヘリオットにはファーノン先生からの手紙が届き、会うことになっていた。

ファーノン先生は、ヘリオットを診療所に連れて行くと、いきなり何かの粉末に油を入れて化学反応させ、部屋を煙で充満させてヘリオットを驚かせる。なかなか茶目っ気のある人物のようだ。

そして2人は馬の往診に出かける。その馬はひづめの奥に膿がたまっていて、ファーノン先生はヘリオットにその治療を任せる。きつい手術だったが、ヘリオットは何とかやり遂げた。

ヘリオットは試験に合格し、ファーノン先生の下で働くことになる。就職して2日目の夜、ファーノン先生は外出中。そこに電話がかかってきて、ヘリオットは腹痛の馬の治療に行くことになる。ヘリオットはこの問題を解決できるのか?そして、この物語の行方は?

何しろ新米なので、一つひとつの仕事は大変である。つらい選択もしなければならない。人間の医者はもちろん責任重大だが、獣医の仕事も大変であることが分かる。悲喜こもごものヘリオットたちの日々が描かれる。難しい単語もいくつか登場してちょっとつっかえるが、単語リストもあったので、それほど苦労せずに面白く読めた。
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2017年07月10日

銀河鉄道の夜

「銀河鉄道の夜」                       宮沢 賢治
★★★★★



主人公はジョバンニ。学校で授業を受けているシーンから始まる。ちょうどその日はケンタウル祭で、先生は天の川について授業をした。

人々は祭りの準備で、葉っぱのボールをつるしたり、松の枝にライトを付けたりしている。しかしジョバンニは貧しかったため、印刷会社で活字を拾うバイトをしていた。その仕事が終わってお金をもらうと、食べ物を買って家に帰る。食事をして、母に祭りを見に川に行くと言って、ジョバンニは出かける。

丘の上で寝そべって星を眺めていると、いつの間にか列車に乗っている。向かいの座席には、親友のカンパネルラが!そして列車は夜空を走っていく。周りの幻想的な風景が描かれる。賢治の持つ世界観が存分に表現されている。

この列車の旅で、ジョバンニたちは化石の発掘をする教授や、鳥を捕る男などに出会う。彼がシラサギを捕る様子などは、豊かな想像力にあふれている。

この物語で描き出される列車の旅は、死への道でもある。死後の世界がこれほど美しいところなら、死ぬのも怖くないなと思わされる。宮沢賢治は想像力豊かな人だったことが(そして、おそらくロマンチストだったことも)よく分かる作品である。
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2017年07月04日

ザッカーバーグ・ストーリー

「Facebookを創った男:ザッカーバーグ・ストーリー」      トム・クリスティアン
★★★★★



1984年、マーク・ザッカーバーグは生まれた。父は歯科医、母は精神科医という裕福な家庭だった。

父が、ザッカーバーグにプログラミングを教えた。ザッカーバーグが11歳になると、家庭教師からプログラミングを本格的に学ぶ。たちまち上達し、自分でゲームを作って遊ぶようになる。そして、14歳の時に、父親が仕事で使える簡易メッセージソフトを作ってしまった。それが1996年、AOLがインスタント・メッセンジャーを出す前のことである。

その後ザッカーバーグは、元米国大統領も卒業した名門高校に転校する。そこで、Synapseという音楽再生ソフトを開発する。このソフトは、その人が聴く音楽を理解し、お勧めの音楽を知らせてくれるのだ。

卒業後、ハーバード大学に進み、コンピューター科学と心理学を専攻する。2年の時には「フェイスマッシュ」というウェブサイトを作った。ハーバードの学生の外見を比較するサイトで、他の学生から批判を浴びて、すぐに閉鎖されてしまったが。

しかし、そのことを知ったハーバードの4年生3人から、ハーバードの学生の交流サイトを作りたいと言われ、そのプログラミングをするように頼まれる。それがフェイスブックの元になった、と思ったのだが、実はそうではなく、彼らと会う前にザッカーバーグはすでにソーシャル・ネットワーキング・サイトを作っていた。それが現在のフェイスブックの前身となるサイトである。作って1か月で、ハーバードの学部生の4分の3が登録した。フェイスブックは、ハーバード以外の大学にも広がっていった。

だんだんフェイスブックが大きくなっていくにつれてサーバーのレンタル料などもかかるようになり、金が必要になってきた。そこで、フェイスブックにマスターカードが広告を出し、思った以上の宣伝効果があった。

そしてザッカーバーグはハーバード大学を中退する決心をする。

それから、フェイスブックはページに広告を載せて収入を得るという現在のスタイルを確立していくことになる。その後の経緯については、本書を読んでいただきたい。

読むと、ザッカーバーグは決して金ばかりを追いかけていなかったことが分かる。ビジネスとしてではなくスタートさせたサイトがあそこまで大きくなってしまうのだから、ネットの持つ可能性は計り知れない。私も仕事でネットを十分活用させてもらっているが。

伝記を読むのはもともと好きだが、英語で読むと達成感がある。これからもできるだけ読み続けていきたい。
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2017年06月25日

グリム・クラシックス

「グリム・クラシックス」



グリム童話の短編集である。

「ヘンゼルとグレーテル」

昔々、ヘンゼルとグレーテルという兄妹がいた。父は貧しい木こりで、まともに食べ物が手に入らなかった。ヘンゼルとグレーテルの継母は子供たちを森の中に捨ててこようと言う。父はもちろん反対するが、本当に食べられないので、しぶしぶ同意する。しかし、子供たちはそれを聞いていて、ヘンゼルはポケットに白い石をたくさん詰め込んでおいた。そして翌朝、両親が自分たちを森の中へ連れて行く時に、その石を目印として少しずつ落としていくのだ。それで、夜になって森の中に置いて行かれても、月明かりで小石を見つけ、家に戻ることができた。

しかし、本当に食べるものがなく、継母は森のもっと奥に子供たちを置いてくるしかないと言う。父はそれに従わざるを得なかった。今度は、ヘンゼルはパンくずを少しずつ地面に落としていった。また森の中に置き去りにされ、パンくずを目印に家に戻ろうとするが、鳥に全て食べられて、帰る道が分からない。ヘンゼルとグレーテルは歩き続け、お菓子の家にたどり着く。兄妹は喜んで食べ始めるのだが、その家に住んでいたのは・・・。

たぶんこの話は読んだはずだが、あまり覚えていない。面白いのだが、何がテーマなのか、いまいちよく分からない。

「カエルの子」

美しい王女がいて、カエルに助けられ、そのお礼に自分を愛するように求められる。王女はカエルを嫌うが、その正体は・・・。たった11ページの超短編である。

「ガラス瓶の中のお化け」

貧乏な木こりの息子が、ガラス瓶の中に閉じ込められたお化けを助け、魔法の杖をもらう、という話。何ともうらやましい話である。その杖がなければ、ただの人なのだが。

他にも、「踊ってぼろぼろになった靴」「糸を紡ぐ三人の女」を収録。一つひとつの話は短いので、読みやすい。内容も変化に富んでいて、飽きさせない短編集だった。
posted by 三毛ネコ at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ラダーシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする