2018年07月14日

夜の国のクーパー

「夜の国のクーパー」                伊坂幸太郎
★★★★



猫のトムの視点から物語は始まる。鉄国と猫の住む国との間に戦争が起き、鉄国が勝利して、鉄国から兵士が乗り込んできたのだ。そして冠人という王が殺される。

場面は変わって、どうやら現代の日本。妻に不倫をされた男が居心地の悪い家から抜け出し、釣りに行く。しかし船が転覆し、気づいた時には体を縛られて動けなくなっている。そこでトムと出会い、なぜか会話をしている。相変わらずオリジナリティーを感じさせる設定である。

そこで、この本のタイトルでもある「クーパー」という言葉が登場する。トムの住む国では毎年、選ばれた住民がクーパーと戦うのだ。クーパーを倒した兵士は透明になり、町の人間が困った時に助けに戻ってくる、とも言われている。

題名にもなっている通り、「クーパー」の話題が中心になって物語は展開する。クーパーとは何者か。それは実際に読んでもらうしかない。

猫の視点から客観的に描くことで、様々な人間模様、人間の残酷さなどを描写し、人間社会を風刺しているようにも思える。裏切り、欲望、死……人間の本当の姿がさらけ出されているように見えるのだ。

話が進んでいくと、意外な真相が明らかになっていく。さすがに伊坂幸太郎、単純に話を終わらせるようなことはしない。

最後のオチには苦笑させられた。あの有名な物語をヒントにしたパロディーなのだろうか。しかし、なかなか楽しませてくれたエンターテインメントだった。
ラベル:伊坂幸太郎 小説
posted by 三毛ネコ at 07:12| Comment(0) | エンターテインメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月11日

Number 7/17 臨時増刊号

「Number 7/17 臨時増刊号」
★★★★



いやー、ベルギー戦惜しかった。1点先制の時は「よし、いい流れ!」と思い、乾の2点目には「ひょっとしたら勝てるかも?」と思ったのだが、やっぱり世界は甘くなかった。ベルギーが身長の高い選手を2人入れ、高さのある選手が絡んで同点にされてしまったのだ。そして、終了間際のカウンターからの決勝点。悔しい……。

後半アディショナルタイムの決勝点は、コーナーキックを蹴った日本の本田がショートコーナーなどで時間稼ぎをしていれば防げて、延長に持ち込めた、とイタリアでは言っているらしい。たしかに、それなら別の展開が臨めたかもしれない。PK戦になった可能性もある。しかし、日本は時間内で勝ちにいったのである。カウンターの対策をしていなかったのがまずかったのであって、本田を責めるべきではない、というのが元日本代表監督のザックの意見である。

オシムも「いい試合だった。日本は本当に素晴らしかった」と称えている。同時に、「ミスは犯さないように修正していくべきだ」とも。

今号で乾は、上げるべきなのは攻撃力だと述べている。それも大事だが、2-0のリードから3点を失ったことを考えれば、やはり守備力の強化を優先させるべきだろう。ある本には、「攻撃はセンスも必要なので教えることができない部分もあるが、守備はいくらでも教えられるし、鍛えることができる」と書かれている。日本が守備力を強化し、4年後にはベスト8以上に進めることを期待したい。
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2018年07月08日

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」                新井紀子
★★★★★



AIブームだが、シンギュラリティは来るのだろうか?AIが人間の仕事を全てするようになるのだろうか?その答えが本書にある。AIが人間の多くの仕事に取って替わる可能性は高い。

第一次、第二次のAIブームを経て、今は第三次AIブームである。ディープラーニングと言う技術によって、AIは確かに進歩した。しかし、この技術は人間の脳を模倣して「数理モデル」を作ったのであり、人間と全く同じことができるようになるとは限らない。

多くの人が知っているように、著者(新井さん)は「東ロボくん」プロジェクトを行っていた。その結果、東ロボくんは57.1もの偏差値を出せるようになったのだ。これは、学部を選ばなければMARCH、関関同立にも潜り込めるレベルである。東ロボくんは数学では76.2、世界史では66.5という高い偏差値を出すことができた。しかし、国語と英語で行き詰まった。偏差値が50あたりで止まってしまい、結局東ロボくんプロジェクトが中止になったことはニュースでも報道された。

AIは文章が読めない、数式に置き換えられないことをAIにさせることは無理、AIはコンピュータなので四則計算しかできないということはこの本で初めて知った。無知なもので、AIは人間と同じように文章を読んで理解していると思っていたのだ。

2016年にグーグル翻訳のレベルが上がり、この調子でレベルが上がれば翻訳の仕事がなくなってしまうのではないか、と思っていたのだが、新井さんは意味を全く理解せずに翻訳をしている現在の機械翻訳では、人間と同じレベルの翻訳ができるようにはならないだろうと言っている。ちゃんとグーグル翻訳の仕組みなども説明した上での結論なので、信頼できる。正直なところ、かなり安心した。

自分に関しては安心したのだが、子どもたちの読解力低下の調査結果には不安にならざるを得なかった。読解力が低い中高生。しかもAIが苦手とする分野の読解力が不足している中高生も多かった。つまり、その中高生たちはAIに仕事を奪われ、まともな仕事に就けない可能性があるということだ。

しかし、読解力はいくつになっても上げることができる、と新井さんは言い、その例も挙げている。これからはこの問題を解決するための取り組みを行っていくつもりのようだ。

希望はある。きっと……。
ラベル:AI 翻訳
posted by 三毛ネコ at 15:37| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月03日

Number 7/9

西野ジャパン、惜しかったですね。2点目を取った時はひょっとしたら勝てるかも、と思いましたが……本当は昨日アップすべきレビューですが、一応記念に載せておきます。

「Number 7/9」
★★★★



西野ジャパン、ベスト16進出!とくれば、嬉しいことのはずなのだが、ポーランド戦の終わり方のために、あまりポジティブな感慨が湧かない。しかし、冷静に考えてみれば、日本代表の戦い方の引き出しが1つ増えたということであり、日本サッカーにとっていいことなのだろう。次に優勝候補のベルギーとガチンコ勝負ができるのも、グループリーグを突破したからこそである。ポーランド戦でスタメンを6人も入れ替えたのも、ベスト16の先の戦いを頭に入れてのことだっただろう。

西野監督は賭けに勝ったのだ。

今号で目を引くのは、「半端ない」FW大迫勇也選手の記事である。彼はこの4年間で成長した。ブラジルW杯でも先発で2試合に出ているのだが、その時の大迫のプレーは印象に残っていない。それほど目立った活躍はしなかったのだろう。しかし、今大会のコロンビア戦ではマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたように、大迫のうまさが際立った。体の使い方が上手いので、敵を背負って後ろ向きでボールを受けても、そこから反転して前を向き、パスを前に出したりシュートしたりできるのだ。そんなことができるのも、ブンデスリーガに行ってから横隔膜をうまく使うトレーニングをしたおかげらしい。成長の陰には人知れぬ努力があったのだ。

そして、元日本代表監督のオシムはポーランド戦について「満足のいく試合とは言えない」というコメントを残している。また、目標を一つ達成したのだからまずは満足すべきだが、これで終わったわけではないとも言っている。

次のベルギー戦、死力を尽くして勝利を目指してほしい。たとえ、それがどんなに厳しくても……
posted by 三毛ネコ at 09:04| Comment(0) | Number | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月30日

レオナルド・ダ・ヴィンチ

「レオナルド・ダ・ヴィンチ」          ミゲール・リーヴァスミクー
★★★★



ルネサンスを代表する天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ。絵画ばかりではなく、潜水艦やヘリコプターの原型までも思いついていた。「万能の天才」と呼ぶにふさわしい。

しかし、その若いころのことはよく知らなかったので、この本を読んでみた。

レオナルドは1452年にイタリアで生まれた。両親は正式に結婚しなかったので、レオナルドは私生児として扱われた。面倒を見てくれたのは、叔父のフランチェスコだった。ダ・ヴィンチは字が読めなかったので、父親のように公証人になることもなく、医者や銀行家になることもなかった。そのおかげで、大画家になれたのだ。

15歳になると、ヴェロッキオという画家の工房に弟子入りする。しかし、最初は奇妙な仕事や床を掃く仕事をやらされた。後に、それは色の元になる石をすりつぶしたり、絵筆を作る仕事だったと気づく。

修行を積んだ後、1477年には自分の工房を持つ。天使やキリストの頭の上に光輪がない宗教画を描いたりして人々を驚かせる。それ以外にも、風呂を沸かすシステムを考案したり、運河建設の技師になったりして多才ぶりを発揮している。もちろん、その後代表作となる絵も描いていくわけだ。

その天才ぶりと先見性を知ると、きちんとした教育を受けていれば、もっとすごいことを成し遂げただろうと思える。画家としても素晴らしいのだが、それ以外の面での活躍ももっと見てみたい人物だった。
posted by 三毛ネコ at 11:09| Comment(0) | ラダーシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする