「アウトサイダーズ」 スーザン・エロイーズ・ヒントン
★★★★
ポニーボーイが主人公。グリーザーズという不良グループに入っているが、学校の成績は良い少年である。交通事故で両親を失った。ダリーとソーダという2人の兄がいる。
この町にはソックスという裕福な家の子供のグループもある。この2つのグループは敵対している。
ポニーボーイたちは万引きをし、映画館でチェリーとマルシアという女の子にちょっかいを出す。そんな不良でありながら、ポニーボーイの成績は本当に良く、学校を1年飛び級している。
グリーザーズの中にジョニーという若者がいた。ある日、彼は理由もなく父親にひどく殴られ、顔に傷を負い、顔から出血していた。ジョニーの父親は彼を愛していなかったのだ。それからジョニーは常に飛び出しナイフを持つようになった。
前述のチェリーたちは、ポニーボーイたちと対立するソックスに属していた。ソックスのボブという若者がチェリーたちを迎えに来て、ポニーボーイたちと一触即発の雰囲気になる。だが、チェリーたちはボブと一緒に車で去っていく。
ポニーボーイもジョニーも幸せな状態ではない。2人は連れ立って夜の街を歩き、そしてソックスのグループと再び出会って事件が起こり……。
青春の負の側面を描いた物語、とも言えるだろう。青春小説だが、全然明るいストーリーではない。気が滅入るような話である。それでも、最後まで読ませてくれる魅力を持った作品ではあった。
2019年12月22日
2019年12月15日
伊坂さんらしい、オリジナリティー溢れる小説です。楽しめました。
「クジラアタマの王様」 伊坂 幸太郎
★★★★★
主人公の「僕(名字は岸)」は菓子メーカーの宣伝広報局で働いている。最近そのメーカーで開発したマシュマロのお菓子を、人気ダンスグループの小沢ヒジリという男がテレビで気に入っていると言ってくれて、その翌日から注文や問い合わせがどんどん来るようになった。「僕」はもちろん喜んだのだが、それだけでは終わらなかった。
そのお菓子に画鋲が入っていた、というクレームの電話があったのだ。そのときの社員の対応がまずく、クレームをつけた女性はSNSで画鋲が入っていたことを広めた。「僕」が勤めているメーカーはその対応として記者会見を開くことにし、「僕」はそのときに言うべきでないこと、すべきでないことといった注意文書のようなものを作る。しかし、会見をした部長がその「べからず集」を持って行くのを忘れ、会見は完全な失敗に終わる。翌日には、抗議の電話の嵐。
しかし真相は、お菓子に画鋲は入っておらず、クレームをつけた主婦の子どもが落ちていた画鋲を飲んで、それを「僕」の会社のせいにしたのだ。
そして、話は次の章へ。池野内征爾(せいじ)という都議会議員が出てくる。この議員は「僕」に一風変わった話をしてくる。夢の中で、「僕」そっくりの絵が描かれたビラのようなものを見たというのだ。しかも、そのビラに書かれていた8ケタの数字が「僕」の生年月日と一致した。
さらに、以前出てきたエピソードが後の話へと次々につながってくるという、伊坂幸太郎得意の展開になる。そして話は、「ハシビロコウ」、「火事」、「夢」といったキーワードにより、「僕」と池野内議員、小沢ヒジリが結びつき、複雑になって、面白い展開になっていく。冒険小説の要素もある。
伊坂作品はいつもそうだが、ちょっと先を想像できない小説である。
作品の節目節目にこの物語を表現したマンガ(セリフはない)が出てくる。最初はどういう意味か分からなかったが、この物語の内容を表しているのだということが分かってくる。なかなか効果的な演出である。そんなマンガも含めて、伊坂ワールドに浸っているうちに、気がつくとラストまで読んでしまう、そんな魅力を持った小説だ。
★★★★★
主人公の「僕(名字は岸)」は菓子メーカーの宣伝広報局で働いている。最近そのメーカーで開発したマシュマロのお菓子を、人気ダンスグループの小沢ヒジリという男がテレビで気に入っていると言ってくれて、その翌日から注文や問い合わせがどんどん来るようになった。「僕」はもちろん喜んだのだが、それだけでは終わらなかった。
そのお菓子に画鋲が入っていた、というクレームの電話があったのだ。そのときの社員の対応がまずく、クレームをつけた女性はSNSで画鋲が入っていたことを広めた。「僕」が勤めているメーカーはその対応として記者会見を開くことにし、「僕」はそのときに言うべきでないこと、すべきでないことといった注意文書のようなものを作る。しかし、会見をした部長がその「べからず集」を持って行くのを忘れ、会見は完全な失敗に終わる。翌日には、抗議の電話の嵐。
しかし真相は、お菓子に画鋲は入っておらず、クレームをつけた主婦の子どもが落ちていた画鋲を飲んで、それを「僕」の会社のせいにしたのだ。
そして、話は次の章へ。池野内征爾(せいじ)という都議会議員が出てくる。この議員は「僕」に一風変わった話をしてくる。夢の中で、「僕」そっくりの絵が描かれたビラのようなものを見たというのだ。しかも、そのビラに書かれていた8ケタの数字が「僕」の生年月日と一致した。
さらに、以前出てきたエピソードが後の話へと次々につながってくるという、伊坂幸太郎得意の展開になる。そして話は、「ハシビロコウ」、「火事」、「夢」といったキーワードにより、「僕」と池野内議員、小沢ヒジリが結びつき、複雑になって、面白い展開になっていく。冒険小説の要素もある。
伊坂作品はいつもそうだが、ちょっと先を想像できない小説である。
作品の節目節目にこの物語を表現したマンガ(セリフはない)が出てくる。最初はどういう意味か分からなかったが、この物語の内容を表しているのだということが分かってくる。なかなか効果的な演出である。そんなマンガも含めて、伊坂ワールドに浸っているうちに、気がつくとラストまで読んでしまう、そんな魅力を持った小説だ。
2019年12月07日
あるバックパッカーが謎の「ビーチ」へ行く冒険小説的な物語です。
「BEACH PGRN6 (Penguin Readers (Graded Readers))」 AlexGarland
★★
リチャードというバックパッカーの若者が、ふとしたことからタイの「ビーチ」の地図を手に入れる。彼はそれを知り合ったばかりのバックパッカー、エディエンヌ(男)に見せ、エディエンヌの彼女、フランソワーズと共に3人でそのビーチに行くことにする。その島までは泳いでいかなければならない。リチャードは「ビーチ」に行く前にゼップとサミーという、新たに知り合った若者に「ビーチ」の地図とメッセージを残していく。
そして3人は何とか「ビーチ」にたどり着く。しかし、そこには銃を持った男たちがいた。その男たちから逃れるため、リチャードたちは滝つぼに飛び込み、そこで英語を話す男と出会う。名前はジェド。彼はリチャードたちを自分の家に連れて行った。そこには、サル、キャシー、バグズという3人の男女がいた。その島には、さらに何名かの男女が暮らしていた。ここはどういう場所なのか。この物語はどこへ向かうのか……
その後、「ビーチ」での日々が描かれる。
「ビーチ」に行ったところまではアドベンチャーやビーチの謎といった要素もあり、楽しめるのだが、その後は期待したような展開でもなく、あまり面白くない。
この本はペンギンリーダーズなのだが、ラダーシリーズに比べると構文が簡単なので読みやすい。この本はどちらかと言えば「ハズレ」だったが、ペンギンリーダーズもどんどん読んでいきたい。
★★
リチャードというバックパッカーの若者が、ふとしたことからタイの「ビーチ」の地図を手に入れる。彼はそれを知り合ったばかりのバックパッカー、エディエンヌ(男)に見せ、エディエンヌの彼女、フランソワーズと共に3人でそのビーチに行くことにする。その島までは泳いでいかなければならない。リチャードは「ビーチ」に行く前にゼップとサミーという、新たに知り合った若者に「ビーチ」の地図とメッセージを残していく。
そして3人は何とか「ビーチ」にたどり着く。しかし、そこには銃を持った男たちがいた。その男たちから逃れるため、リチャードたちは滝つぼに飛び込み、そこで英語を話す男と出会う。名前はジェド。彼はリチャードたちを自分の家に連れて行った。そこには、サル、キャシー、バグズという3人の男女がいた。その島には、さらに何名かの男女が暮らしていた。ここはどういう場所なのか。この物語はどこへ向かうのか……
その後、「ビーチ」での日々が描かれる。
「ビーチ」に行ったところまではアドベンチャーやビーチの謎といった要素もあり、楽しめるのだが、その後は期待したような展開でもなく、あまり面白くない。
この本はペンギンリーダーズなのだが、ラダーシリーズに比べると構文が簡単なので読みやすい。この本はどちらかと言えば「ハズレ」だったが、ペンギンリーダーズもどんどん読んでいきたい。
2019年11月30日
英文法の解説を付けて、ヘミングウェイの短編をより深く読もうという本です。読解力も、文法的な知識もまだまだ足りないと痛感させられました。
「ヘミングウェイで学ぶ英文法」 倉林秀男、河田英介
★★★★
文豪、ヘミングウェイの短編を原文、全訳に「ここに気をつけて読もう」という文法上の注意点、その解説、ワンポイント文法講義、作品解説を加えてきちんと読解できるようにした本である。
ヘミングウェイは講談社のルビーブックスで「老人と海」を読んだだけだったので、短編に解説が付いたこの本なら手軽に読めるかな、と思い購入した。
本の構成は訳文→原文の順になっているのだが、やっぱり英語が読みたいので、原文からスタートする。
簡潔な文章で、ストーリーの流れは分かるのだが、右ページの文法的な注意点を意識して読むと、案外自分がきちんと読めていないことに気づく。大まかには読めていても、細かいところはテキトーに読んでしまっていたことを痛感させられる。
しかし、この本を読んでいると、文法的な解釈に気を取られすぎて、肝心の中身をあまり味わえない。ある程度の力があれば、原書を直接読んだほうが楽しめるだろう。
しかし、私の場合はまだまだ力が足りないので、「ここにはそんな含意があったのか」などと解説を読んで初めて分かることも多かった。
ストーリーの内容だが、解説のおかげで「Cat in the Rain」という短編では夫婦のギクシャクした様子、「A Day’s Wait」という短編では父親が子どもを気づかう場面など、細やかな描写に気づくことができた。「The Sea Change」では読後に、こちらが思いもしなかった解釈があったことが分かる。
ヘミングウェイを英語でより深く読みたい人にはオススメである。
★★★★
文豪、ヘミングウェイの短編を原文、全訳に「ここに気をつけて読もう」という文法上の注意点、その解説、ワンポイント文法講義、作品解説を加えてきちんと読解できるようにした本である。
ヘミングウェイは講談社のルビーブックスで「老人と海」を読んだだけだったので、短編に解説が付いたこの本なら手軽に読めるかな、と思い購入した。
本の構成は訳文→原文の順になっているのだが、やっぱり英語が読みたいので、原文からスタートする。
簡潔な文章で、ストーリーの流れは分かるのだが、右ページの文法的な注意点を意識して読むと、案外自分がきちんと読めていないことに気づく。大まかには読めていても、細かいところはテキトーに読んでしまっていたことを痛感させられる。
しかし、この本を読んでいると、文法的な解釈に気を取られすぎて、肝心の中身をあまり味わえない。ある程度の力があれば、原書を直接読んだほうが楽しめるだろう。
しかし、私の場合はまだまだ力が足りないので、「ここにはそんな含意があったのか」などと解説を読んで初めて分かることも多かった。
ストーリーの内容だが、解説のおかげで「Cat in the Rain」という短編では夫婦のギクシャクした様子、「A Day’s Wait」という短編では父親が子どもを気づかう場面など、細やかな描写に気づくことができた。「The Sea Change」では読後に、こちらが思いもしなかった解釈があったことが分かる。
ヘミングウェイを英語でより深く読みたい人にはオススメである。
2019年11月24日
この本を読めば、AIが得意なことと苦手なことが分かります。
「人工知能プロジェクト」 新井紀子、東中竜一郎
★★★
新井さんは「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」で複数の賞を取り、すっかり有名になった。言うまでもなく、「東ロボくん」プロジェクトのリーダーである。
昨今は第3次AIブームで、いたずらにAIの脅威をあおるような本も多い。しかし、新井さんのように、冷静にAIの利点と不利益を提示し、AI時代の子供たちのために活動している人を、私は他に知らない。
この本も、「AIブームの到達点と限界」について書いてあるようなので、読む気になった。
内容は、東ロボくんプロジェクトでの英語、数学など科目ごとの解答方法やその結果などが記されている。読んでいてちっとも面白くない。私のような素人が読むより、AIの専門家が参考として読むような本である。意味不明な図や数式もたくさん出てくる。しかし、私が知りたいのはあくまでも現在のAIができることとできないことなので、そんな箇所はすっ飛ばし、とにかく読み進めた。
英語では、長文問題がAIにとってかなりの難問のようだ。AIに長文問題を解かせるのは困難な課題であるらしい。
国語では、長文読解でも半分ぐらいの問題を正解させることはできる。しかし、偏差値50ぐらいで頭打ちになったようだ。AIは長い文章を理解することがほとんどできないからである。
その一方で、世界史では偏差値66を出している。専門的な記述ばかりで分かりにくいのだが、どうやら英、国とは異なるやり方で問題を解いているようである。数学でも偏差値65程度を出している。
結論としては、AIはある部分では人間を大きく上回る分野がある一方、読解力という点では人間には及ばない。読解力を高め、新しいことを独学で学んで身につけられるようにしておく―これが、AI時代に私たちが生き残る戦略であるようだ。
★★★
新井さんは「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」で複数の賞を取り、すっかり有名になった。言うまでもなく、「東ロボくん」プロジェクトのリーダーである。
昨今は第3次AIブームで、いたずらにAIの脅威をあおるような本も多い。しかし、新井さんのように、冷静にAIの利点と不利益を提示し、AI時代の子供たちのために活動している人を、私は他に知らない。
この本も、「AIブームの到達点と限界」について書いてあるようなので、読む気になった。
内容は、東ロボくんプロジェクトでの英語、数学など科目ごとの解答方法やその結果などが記されている。読んでいてちっとも面白くない。私のような素人が読むより、AIの専門家が参考として読むような本である。意味不明な図や数式もたくさん出てくる。しかし、私が知りたいのはあくまでも現在のAIができることとできないことなので、そんな箇所はすっ飛ばし、とにかく読み進めた。
英語では、長文問題がAIにとってかなりの難問のようだ。AIに長文問題を解かせるのは困難な課題であるらしい。
国語では、長文読解でも半分ぐらいの問題を正解させることはできる。しかし、偏差値50ぐらいで頭打ちになったようだ。AIは長い文章を理解することがほとんどできないからである。
その一方で、世界史では偏差値66を出している。専門的な記述ばかりで分かりにくいのだが、どうやら英、国とは異なるやり方で問題を解いているようである。数学でも偏差値65程度を出している。
結論としては、AIはある部分では人間を大きく上回る分野がある一方、読解力という点では人間には及ばない。読解力を高め、新しいことを独学で学んで身につけられるようにしておく―これが、AI時代に私たちが生き残る戦略であるようだ。

