2018年02月17日

アイデアのつくり方

「アイデアのつくり方」              ジェームズ・ウェブヤング
★★★★★



どうすればアイデアは出てくるのか。米国最大の広告代理店で働いていた著者がこの質問に答えたのが本書である。

アイデアの基本になるのは知識である。これはよく分かる。ミステリーをろくに読んだこともない人がいきなり新しいミステリーを書くことは無理だろう。しかし、知識だけでは十分ではない。

著者によれば、アイデアを出すのは、自動車のフォードを生産する過程に似ているという。アイデアは、工場の組立ラインのように、学び、コントロールすることができる頭の中の効果的なテクニックで、道具を使うのと同じく、頭の中のテクニックの使い方によって生み出されるものだという。

その後には、アイデアの創出をしやすくする方法は何か?ということが書かれている。それは、アイデアを出す原理と方法を学ぶことだという。

この本によれば、アイデアは古い要素を新しく組み合わせたものである。そして、古い要素を組み合わせて新しいものを生み出すには、関係を見抜く力が必要である。一見バラバラの知識が、ある人にはつながった一連の知識のように見えるのだ。それができる人はその一連の知識から一般的な原理を抽出し、それを新しく組み合わせ、それがアイデアとなるのだ。

具体的な方法は本書を読んでいただきたいが、ちょっとヒントを書いておくと、カードを使ってアイデアを出す。

私は小説を書いてみたいという思いがあり、そのアイデアを得る役に立つかと思ってこの本を読んだのだが、アイデアを得られそうな方法は記されている。広告のアイデアを得る方法なので、そのままでは十分ではないと思うが、自分なりにアレンジすれば、小説のアイデア作りにも十分使えそうだ。短いが、内容のある本だった。
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2018年02月10日

地球温暖化

「地球温暖化」                   石井 正仁
★★



地球温暖化の要因となるオゾン層の破壊、温室効果ガスなどについて科学的に説明された本。

地球の気温は1980年から確実に上昇している。その原因の一つが温室効果である。しかし、温室効果は人間が生きるために必要なものでもある。もし温室効果がなければ、地球の気温はマイナス18°Cだという。

地上から14kmの対流圏が、地球温暖化にとって最も大きな意味を持つ。地球を3mのボールとすれば、対流圏はたった0.03mmの厚さしかないのだ。しかし、対流圏はほぼ全ての気象現象の要因になっている。

オゾン層の破壊など、誰もが知っていることも説明されている。

ヨーロッパは日本の札幌よりも北にあるが、南の海からの暖かい海流のおかげで、わりと穏やかな気候である。しかし、温暖化が進むと、地球全体が暑くなる一方で、西ヨーロッパなどは数十年の間寒冷化するという。

また、「比熱」という聞き慣れない言葉を知ることもできる。これは、1gの物質の温度を1°C上げるのに必要な熱量らしい。

地球温暖化などを科学的に解説しているが、内容はだいたい知っていることだったので、専門用語が出てきても、わりとスンナリと読めた。しかし、800円も出して買わなくても、図書館で借りて読めばすむ程度の本だった。
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2018年02月03日

山嵐

「山嵐」                       今野 敏
★★★★★



時は明治時代。天才柔道家、西郷四郎の物語である。

四郎は陸軍士官学校に入るために上京する。そこで嘉納治五郎と出会う。そして、四郎は嘉納の柔道への情熱に惹かれ、嘉納の道場で修行をすることに決める。

四郎は小男だった。しかし、嘉納の提唱する柔道では、婦女子でも大男を投げられると教える。この時、嘉納治五郎は弱冠23歳。まだ柔道を教えるというより、その完成を目指して研究している段階である。

そこで四郎は腕を上げ、道場に来る初心者の指導を任されるようになる。

そして時は経ち、四郎は講道館四天王の一人になる。独自の技、「山嵐」も編み出す。

その後も講道館柔道は発展し続け、指導体系も完成する。しかし、四郎は自分の夢が嘉納とは異なることに気がつく。その結果、講道館を去ることになる。武術家、武田惣角との対戦でいよいよ自分の夢を追いたいという思いは強くなる。そして、彼は海を渡ってアジア大陸へ行こうと決める。

講道館を去った四郎だったが、やはり彼は根っからの武道家のようだ。周りからは柔道家の西郷四郎として扱われ、生きていくことになる。本人もそのことを自覚していた。

小柄な彼が強敵に勝つシーンには爽快感を覚えた。武田惣角ほどではないが、ドラマチックな人生である。武道家の人生を辿ることは興味深い読書体験となった。
ラベル:小説 柔道
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2018年01月27日

屋上の黄色いテント

「屋上の黄色いテント」                    椎名 誠
★★★



主人公は藤井というサラリーマン。住んでいたアパートが火事で焼けてしまう。

とりあえず、使えそうな物をトランクと段ボール2箱に詰め込む。

藤井の部屋は焼けておらず、消火の時に水浸しになっただけだったのだ。そして同じアパートに住む古川さんに荷物を預かってもらう。友人の相原の家に泊めてもらおうと家まで行くが、ガールフレンドが家にいたため、諦める。しかし、そこで相原から登山用のテントや寝袋を借りることにする。2人は高校時代からの友人で、山岳部に所属していたのだ。しかし、泊まれる場所の当てはない。

さて、どうするか。テントや寝袋で眠れそうな公園などを探すが、見つからない。そこで、警官に呼び止められてしまう。まあ、スーツ姿で寝袋やテントを持ってうろついているのだから、怪しまれて当然だが。

そして、いい考えもないままに、藤井はある場所へ向かう。彼はどこに泊まるのか?そして、この後の展開はどうなるのか。

主人公はある場所で一時的に暮らすことになるのだが、そこで東京という都市の様々な営みを目にすることになる。

有名な作家なので、名前は知っていたが、椎名誠の小説を読むのは初めてだった。まあまあ興味深く読めたが、他の作品も読みたい、と思うほどではなかった。
posted by 三毛ネコ at 10:16| Comment(0) | ラダーシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月20日

ラッシュライフ

「ラッシュライフ」               伊坂 幸太郎
★★★★★



舞台は仙台だが、冒頭からやたらと登場人物が多い。異なる場面で5つの話が進行するようである。しかし、同じ仙台なので、それぞれの話は相互に絡み合っている。

被害者に余計な心配をかけないようにと、書き置きを残していく律儀な泥棒。盗むのも1回に20〜30万円だけである。

未来が見えるという新興宗教の教祖を、性格が変わったという理由で殺して解体しようとしている信者とその子分。

ダブル不倫をしていて、相手の妻を殺そうと計画している精神科医の女。ネットを使って拳銃を手に入れた。

会社をクビになり、住んでいるアパートの家賃も払えなくなりそうな男。

なんだか、バラバラである。毎度のことだが、こんなにてんでバラバラに広げておいて、どうやってまとめるのだろう、という気持ちになる。

しかし、それが少しずつ、関連付けられていく。

作品の中に、前作「オーデュボンの祈り」のしゃべるカカシがちらっと出てくる。これも作者の遊び心であろう。

バラバラ殺人の話なども出てくるのだが、割とサラッと描いてくれるので、不快にならずにすむ。ラストに近くなってくると、それまでの伏線のような出来事が次々とつながり、ストーリー全体が明確になってくる。その展開には、一種の爽快感を覚える。

初期の作品だが、十分に伊坂テイストが出ていた。
ラベル:伊坂幸太郎 小説
posted by 三毛ネコ at 10:11| Comment(0) | エンターテインメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする