2012年05月10日

英語ベーシック教本-ゼロから分かる

「英語ベーシック教本-ゼロから分かる」               薬袋 義郎
★★★★★


私は最近英検1級の1次試験に受かったのだが,その英語力の基礎は薬袋先生の本によって作られたといっても過言ではない。先生の提唱する品詞分解によって英語の構文(英文の仕組み)が驚くほどよく分かるようになった。今は某通信添削会社で英語の添削指導をしているが,その勉強として大学受験レベルの文法書を3回ほど通読した。あっけないほどスラスラと読み終えることができた。これは薬袋先生の品詞分解で文法が分かりやすくなっていたからだと思う。

そして,仕事の際役立つかと思ってこの本(ベーシック教本)を買ってみた。予想したより面白く読めた。辞書の使い方なども書いてある。私はまず先生の「英語リーディングの秘密」を読んだのだが,一読しただけでは何を言っているのかさっぱり分からなかった。2回目でやっとその意図が分かり,これはすごい本だと思って何度も読んだ。その後,「リーディング教本」をやって,やっと先生の提唱する品詞分解ができるようになった。「リー教」を20〜30回ぐらい繰り返してやった。しかし,もし始めに「ベーシック教本」があれば,ずいぶん楽に勉強が進められただろう。ただ,中学レベルからとは書いてあるが,実際にはこの本は普通の中学生には難しいと思う。副詞的目的格や完了動名詞など,文法用語だらけなので,かなり英語の得意な中学生でないとついていけないのではないだろうか。私だったら,たぶん途中で挫折すると思う。しかし,基本からていねいに書いてあるので,社会人がもう一度英語をやり直すのには最適だろう。私自身,「リーディング教本」をマスターした後でも,けっこう新しい発見があった。薬袋先生の方式が性に合っている人なら,持っておく価値はある。
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2012年04月01日

HOLES

「HOLES」 Louis Sachar
★★




ある少年が盗みをしたという容疑で更生施設に送られてしまう。そこで少年たちはひたすら穴を掘る。いったい何のために掘るのか。面白かった,感動したとの声が多かったようだが,50ページ読んでもその面白さが分からない。劇的な展開があるわけでもなく,殺人事件も起こらない。ただ毎日毎日穴を掘り,それにまつわる出来事が記されていくだけ。しかし,そこで少年たちは穴を掘るという作業を通して友情をはぐくんでいく。

100ページあたりからようやく話が動き出す。そのあたりで,少年たちは「何か」を探させられていることがはっきりする。いったい,それは何なのか。それは,実際に本を読んで確かめてもらいたい。

この話が面白くなるのは,中盤を過ぎたあたりからである。それまでちょっと我慢して英文を読む必要がある。

私はマイケル・クライトンのファンで彼の小説を3作ほど英語で読んだが,非常に面白かった。私はダイナミックな展開が好きなので,HOLESのような小説はあまり面白いとは思えないのだ。それでも,後半はアドベンチャー的な要素も出てきて,それなりに興味深く読める小説となっている。

「英語耳」には,この本が英語で読めればどんどんペーパーバックを読んでいけると書かれている。幸い,私は読むことができたので,ペーパーバックに挑戦していくつもりである。
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2012年02月20日

鳥人計画

「鳥人計画」                          東野 圭吾
★★★★★




傑作である。私はこの本にたまたま出会って東野さんのファンになった。彼が人気作家になる前から,多くの作品を読んできた。このような普通の推理小説ではない,ちょっとひねったミステリーを読んだのはこの本が初めてだった。それだけに強烈に印象に残った。今でもまだその「計画」をはっきりと覚えているぐらいである。いつかはこの作品についてもレビューを書かねばと思っていたが,ようやくその機会が巡ってきた。

スキーのジャンプ競技を主な舞台にして物語は展開していく。スキージャンプの選手たちの不自然な失敗ジャンプ。そしてあるジャンパーの不審死―その死は殺人だった。

私の記憶では,この小説に殺人の要素はないと思っていたのだが,やはりそこは乱歩賞作家,ちゃんと殺人も組み込んである。

スキージャンプ競技の話なので,登場人物のジャンプを分析したグラフなども出てくるのだが,分かりやすく説明してあるので,読みにくいというほどではない。この作品をよりリアルに感じさせる小道具となっている。

二度読んでも,やはり面白い。殺人事件の謎とある「計画」の謎が並行して描かれていく。その組み合わせ方などが上手い。ぐいぐい読ませる力がある。なぜこの作品が文学賞をとらなかったのか不思議なくらいだ。

恐るべき計画と殺人事件の謎が結びつき,事件の真相が明らかになる。そのとき,読者は間違いなく感心するだろう。その緻密な構成に。だいたいの東野作品は読んだが,やはりこの小説は一番のお気に入りである。
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2012年01月05日

片思い

「片思い」                         東野 圭吾
★★★★




久しぶりに会った元アメフト部の女子マネージャーは男の姿になっていた。驚く主人公。アメフトをモチーフとしてかつての仲間同士の思い出や友情が語られる。

性同一性障害。それがこの小説のテーマである。ストーリーの中で登場人物が言う。男と女の扱いが同じならこの障害の人間も手術を受ける必要はないというのである。しかし,これはちょっと違うと感じる。この考えは,いわゆるジェンダー(文化的に作られた性)というものである。それが厳然として存在するのも事実だ。しかし私は,男女の性差とは生まれつきの身体や脳などの作りの違いからくるものだと思う。例えば,男性と女性の脳には明らかな違いがある。左脳と右脳をつなぐ脳幹という部分で,女性のほうが男性より明らかに幅が広いのである。そのため,女性は男性より左脳と右脳をうまく連携させて使うことができるらしい。そして,この障害の男性の脳は女性に近いことも分かっている。だとすれば,性同一性障害の人の悩みは,ホルモン剤や手術によってのみ解決できる物理的なものであり,ジェンダーとは関係がないはずなのだ。

人間には優越感がある。もちろん劣等感もある。どちらも,人間が本来持っている性質からくるものだ。人と比べるのが人間の性である。身体的,精神的な違いを見分け,人によって違った扱いをする―それは,人間の本性だと思う。それを変えて男女を完全に平等にしようとするジェンダー論は,ちょっと無理がある。確かに,男女の違いを取り払う努力は必要だろう。しかし,それは性同一性障害の解決にはならない。

障害をテーマにした重い作品でありながら,同時に優れた読み物にもなっている。さすが東野圭吾,と言うしかない作品である。
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2011年11月13日

総合英語 Forest 6th edition

「総合英語Forest 6th edition 」 石黒 昭博 監修




今年から某大手通信添削会社で英語の添削指導者として働き出したのですが,仕事を始める前に高校レベルの文法ぐらいはひと通りやっておこうと思い,購入しました。

カラーで色分けされていて,また図も多く,非常に分かりやすかったですね。私は英検準1級を持っているのですが,文法書を読み通したことはなかったので,けっこう新しい発見がありました。2か月ほどで,3回通読しました。準拠問題集ももちろんやりました。まだ仕事を始めたばかりなので,あまりこの本の内容が役に立つことはないのですが,この先レベルアップしていけばきっと役に立つと思わせてくれる内容でした。

やり方としては,基本的には例文を必ず数回音読しました。英語の達人の多くは音読を勧めています。実用英語では音読は必須です。もちろん,受験英語にも音読は役立ちます。繰り返し音読すれば,その文章をより深く理解できるし,暗記するぐらいまで音読すれば,文法が体に刷りこまれ,反射的にその文法が使えるようになります。これからフォレストをやる人は,ぜひ音読を中心にして学習してみてください。
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2011年09月22日

「3−4−3」究極の攻撃サッカーを目指して

「3−4−3」究極の攻撃サッカーを目指して
★★★★★




3-4-3が攻撃的。「4−2−3−1」の著者の言葉とは思えない。あの本には,確か山本昌邦の採用する「3−4−3」の陣形は守備的だと書かれていたからだ。しかし,読んでみてその疑問は解けた。山本ジャパンの3−4−3とは違う。ザックの3−4−3は5バックになりやすいという欠点はあるが,確かに攻撃的なのだ。また,3−4−3にはかつてのオランダ代表やバルセロナが採用した中盤がダイヤモンド型の3−4−3もある。こちらは文句なしに攻撃的である。どのポジションの選手にも2か所以上のパスの出しどころがあるのが特徴である。

あの日韓大会でベスト4に行った韓国代表も3−4−3で戦っていた。弱者に適したシステムらしい。このシステムで試合をする選手には,複数のポジションをこなせるユーティリティー性が求められる。このポジションしかやらない,というスター選手には向かない。だからこそ,(当時)スーパースターがいなかった韓国代表に合っていたのだろうし,日本にも合っていると言えそうだ。

守備固めというと,下がって守ることだと思われるが,今はそうではないらしい。むしろ,高い位置でボールを奪えるようにする。アジアカップでザックがやったように,長友のようなDFを一列高い位置に置くのが今の流行らしい。ザックは研究熱心なので,ちゃんとそれを知っていたということか。

ザッケローニの3−4−3についてももちろん言及されている。このシステムは,3トップの両サイドがウイング的な役割をして初めて真価を発揮する。3トップが真ん中に寄ってしまうと,3−4−1−2に近い形になり,守備的になってしまうのだ。また,前述したように,相手に押し込まれたときに5バックになってしまう危険もある。著者は,ザックがイタリアで結果を残し続けられなかったのは,3−4−3を使い続けられなかったからではないかと推測している。確かに,バルサのサッカーなどを見ていると,「攻撃こそ最大の防御」と思わされる。攻撃的なサッカーのほうが勝ちやすいかどうかは分からないが,少なくともそういうサッカーは見ていてもやっていても楽しい。日本でもそういう(3−4−3の)サッカーを見たいと思うのは私だけではないはずである。
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2011年08月30日

バルセロナ戦術アナライズ

「バルセロナ戦術アナライズ」                 西部 謙司
★★★★★




感心した。バルセロナというチームをここまで分析し,語りつくしたことに。著者はサッカージャーナリストだが,よほどバルセロナが好きなのだろう,と思わされる。

現在,最強のクラブチーム,バルセロナ。バルサは典型的なボールポゼッションサッカーをする。このサッカースタイルは,70%近くボールを支配できれば,80%の試合には勝てるという考えに基づく。

’88〜90年のヨハン・クライフ監督の時代に今のバルセロナの基礎が築かれたという。そこに,日本代表にも通じるヒントを見出すことができる。イタリアのカウンターサッカー,フランスのシャンパンサッカーのように,バルセロナもまたクライフの時代にバルサ独自のスタイルを見つけだしたのだ。多少の変化はあっても,基本はクライフのサッカーにある。日本代表はまだこれで世界と戦うというサッカーを見つけてはいない。私はそれをザッケローニに期待している。日本が世界で戦える確固としたスタイルを確立した時,日本は一段とレベルアップしたチームになっているだろう。その延長線上にW杯の優勝もあるはずだ。

ヨハン・クライフが採用したシステムは3−4−3(ザッケローニの3−4−3にあらず)。非常に攻撃的な陣形である。攻撃は最大の防御。それがクライフの考え方だったのだ。チャビやイニエスタなど,バルサにはワンタッチでプレーできる選手がたくさんいる。それがバルサのサッカーの生命線でもある。バルサは単なるボールポゼッションサッカーをしているのではない。ゴールを決める方法論をしっかりと持っているのだ。日本代表も大いに見習うべきところではある。

この本は純粋に面白い。私自身,サッカーの戦術や試合の分析が好きなこともあるが,本当に楽しんで読めた。例えれば推理小説の謎解きを読んでいる感じの面白さがある。

バルサのサッカーのコンセプトは「数的優位を作る」「ボールポゼッションの時間が多いほうが勝ちやすい」である。この本を読んでみると,バルサのゲームの進め方は非常に緻密で数学的である。私は文系だが,バルサのサッカーには美しさと魅力を感じる。サッカーがここまで論理的なものだとは思わなかった。

バルサのサッカーはひとつひとつのプレーがよく考えられていて,惰性でプレーしたりその場しのぎでパスを出すことはほとんどないようだ。本当に理詰めなのである。著者は,それを「チェスを思わせる」と表現している。しかし,同じパスサッカーではあるが,このサッカーを日本代表が取り入れるのは簡単ではないだろう。確かに,日本の選手には技術があるし,スピードも備えている。しかし,バルサでは下部組織の小学生時代から考えてプレーすることが求められる。日本代表がバルサのようなプレーをしたければ,やはり同じように小学生の指導から変えていかなくてはならないだろう。

また,バルサの考え方では,頭を使ってプレーすれば,あまり走らなくていいということになる。運動量より動きの「質」を重視するのだ。ジャストなタイミングでいるべきポジションにいればそれでいいのだと。それがバルサの一貫した考え方である。この考え方からも,日本とは方向性が違うようだ。

内容については,かなり細かく分析しているので,マニアックとも言える。サッカーの戦術や分析が好きな人でなければついていけないかもしれない。

やっていても見ていても面白いサッカー,そんなサッカーがもちろん理想である。そのようなサッカーを日本に根付かせるひとつのきっかけとして,この本の試みは有効といえるだろう。この本を一人でも多くのサッカー関係者が読み,日本独自のサッカーを作っていくヒントになってくれることを願う。




サッカー バルセロナ戦術アナライズ 最強チームのセオリーを読み解く
  • 西部謙司
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書評
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2011年07月17日

真夏の方程式

「真夏の方程式」                         東野 圭吾
★★★★★




ガリレオシリーズの最新刊ということで,楽しみにしていた。警視庁の元刑事が死んだ。死因ははっきりしない。たまたま同じ宿に泊まっていた湯川はその出来事の解明に乗り出す。

おなじみの草薙,内海薫ももちろん出てくる。

物語の中で,湯川は言う。「人類が正しい道を進むためには,この世界がどうなっているのかを教えてくれる詳しい地図が必要だ。」それが不完全だから戦争もなくならないと。しかし,私にはそうは思えない。科学が今まで何をしてきたか。原爆を作り,地球温暖化を促進し,さまざまな生物を絶滅に追いやってきた。そして,人類は相変わらず戦争を繰り返している。科学が戦争を終わらせることができるとはとても思えない。むしろ,歴史を徹底的に学んだほうが,ずっと世界は平和に近づくだろう。「歴史は繰り返す」のだから。

ガリレオシリーズらしく,科学的な現象の説明が散りばめられていて,雰囲気をこのシリーズらしくしている。

ストーリーの中に,「容疑者Xの献身」のことを匂わせる会話がある。ファンにとっては,思わずにやりとさせられる場面である。

科学的なトリックや仕掛けを湯川が理系の専門知識を生かして見破る,というのがガリレオシリーズの読みどころなのだが,この物語では後半までそれらしき場面は出てこない。真相は確かに科学的な犯罪といえなくもないが,それよりもむしろ,親子の愛などにもとづく人間ドラマに重点が置かれている。作品としては,むしろ「容疑者Xの献身」に近い。従来の短編読み切りのガリレオとは一線を画している。感動まではしなかったが,名作といっていいと思う。読んでみる価値のある小説だ。
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2011年06月21日

W杯で勝つザッケローニの戦略

「W杯で勝つザッケローニの戦略」               別冊宝島
★★★★




冒頭のページに、「ザッケローニは日本サッカー史上最高の指揮官」とある。ちょっとほめすぎではないか、と思わされる。しかし、この雑誌を読むと、その表現が決して誇張ではないことが分かる。日本代表選手や解説者がザックの戦術や人柄について解説している。ザックの素顔なども紹介されている。

頭のいい監督、と遠藤は言う。それだけではなく、選手の言うこともけっこう聞いてくれるらしい。遠藤がチーム作りについて希望を伝えると、やり方をすぐに変えてくれたらしいのだ。柔軟性があり、選手の意思を尊重してくれる監督である。トルシエとは違って、選手とは良好な関係を築きつつあるようだ。選手が共通して言うのは、指示が細かいということ。また、攻撃的なサッカーを好むようだ。

そして、選手の悪いところについてメディアを通して言わないというのも立派である。監督は選手にミスや欠点を直接言える立場にある。メディアを使って遠回しに伝える必要はないのだ。選手も、自分の欠点などを公の場でボロクソに言われては腹が立つだけである。その点を、ザックはよく分かっている。

ザックがACミランでスクデッドを獲得した時、チームメンバーには一流選手は多くなかった。にもかかわらず、最高の結果を出せたのは、彼の監督としての手腕を物語っている。彼は決して「過去の人」などではない。アジアカップで成し遂げたように、きっとW杯でも素晴らしい結果を残してくれるだろう。
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2011年06月09日

アレックスと私

「アレックスと私」                 アイリーン・M・ペパーバーグ
★★★★★




この本はなぜか、アレックスというヨウムが死んだ後の周囲の反応の大きさの記述から始まる。それだけアレックスが注目されていたのだと言いたいのかもしれないが、読者の立場からすれば、一番最後の章に持ってくるべき内容だと思う。

本題に入るのはそのあと、第3章からである。ヨウムのアレックスとの出会い、そして彼の成長ぶりが描かれる。訓練を始めて数カ月で、アレックスは才能の片鱗を見せている。初めて赤いカギを見たとき、「キー」とちゃんと言えたのだ。それまでは銀色のカギを見せてキーと教えただけだったのに。

動物は人間と同じように言葉を使えるのか?当時はこれに否定的な意見が多かった。著者とアレックスは、そんな風潮に風穴を開けていく。アレックスは「色」や「形」などの抽象的な概念も理解できたのだ。彼はもっと高度なこともできた。「カギは何色?」と聞かれたときに、正解の色以外の知っている色すべてを言ったりするのである。その理解力はなんとチンパンジーやイルカと同じレベルだともいう。驚きである。

ドキュメンタリー風にアレックスとの日々をつづっているのだが、それがリアリティーを感じさせる。

彼は、周りの誰も自分の言うことを聞いてくれないとき、「チャントキイテ!」と言ったらしい。明らかに言葉の意味を理解し、適切に使っているのである。ヨウムは本当に賢いことが分かる。アレックスだけが特別なのかもしれないが。

賢いだけでなく、そのお茶目でいたずら好きの性格は人を引きつけずにはおかない。こんなペットがいたら楽しいだろうに、と思わせるエピソードがたくさんある。

また、アレックスはなんと「ゼロ」の概念も理解していたのだ。彼は訓練中、3個のブロックを見て「ファイブ」と答えた。そしてファイブは何個かと聞いてみると「none(5個のブロックはそこにはないという意味)」と答えたのだ。それまで彼は同じような質問をされたことはなかった。単にオウム返しに知っている単語を言ったのではないのである。ヨウムの賢さには感心するばかりである。

彼のパフォーマンスに驚いているうちに、この物語は終わりを迎える。アレックスが急死してしまうのだ。それは悲しいことだが、彼は動物が思考し、抽象的な概念をも理解できることを証明してみせた。この本を読めば動物が愛しい存在であり、より人間に近い存在として受け入れられるようになるだろう。動物の知能について興味深い示唆をしてくれるノンフィクションである。




posted by 三毛ネコ at 17:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする