2017年05月23日

びんの小鬼

「びんの小鬼」                     R・L・スティーヴンスン
★★★★★



ハワイにケアウェという男がいた。

彼は世界や大都市を見たいと思い、サンフランシスコに行った。そこで、ある男と出会う。男は小びんを持っていて、50ドルでそれを売ってやると言う。その小びんの中には小鬼がおり、頼むと何でも好きなものを与えてくれるらしい。しかし、寿命を延ばすことだけはできず、小びんを持ったまま死ぬと、その人は地獄に行ってしまう。小びんを売れば地獄へは行かなくてすむのだが、その小びんは買った時よりも安い値段で売る必要がある。買った時と同じ値段や、高い値で売ると小びんが自分のところへ戻ってきてしまうのだ。

ケアウェはそれを50ドルで買い、試しに「50ドル返してくれ」と小びんの小鬼に言うと、ちゃんと50ドルが戻ってきたのだ。そしてケアウェはある願いをするのだが、その願いは彼の望まないような形で実現された。願いをかなえてくれるのは神様ではなく小鬼なので、やり方も喜べるようなものではないのだ。

ケアウェははそのびんをすぐに売ってしまうが、その後、しばらくして彼は病にかかり、もう一度小びんを手に入れて病気を治そうとするが・・・

なかなか毒のある話である。星新一のショートショートを思わせる。ケアウェ夫妻が考え出す解決法は、私が思いついたのと同じであった。ラストは少し予定調和的な感じもするが、ちゃんとまとまっていて、楽しめる小説だった。
posted by 三毛ネコ at 12:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ラダーシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月15日

グリム傑作童話集

「グリム傑作童話集」
★★★★



「漁師とおかみさん」
あるところに貧しい漁師がいた。彼は漁でしゃべる魚を釣り上げた。その魚は、自分は魔法の王子だと言うので、漁師はその魚を放してやる。漁師は、自分の妻の頼みを聞き、助けてやったお礼として、その魚に妻の願いをかなえてくれるように頼むのだが、妻の願いは際限がなく・・・。人間の欲には限界がないことがよく分かる。一つ何かを手に入れたら、次のものが欲しくなるのだ。そんな生き方ではどこかで破綻が生じる、と言う教訓を込めた物語である。

「勇ましいちびの仕立屋」
全然強くはないのだが、気持ちだけは勇敢なちびの仕立屋がいた。彼は多くの人に自分が勇敢なことを知らせるため、旅に出る。そして巨人に出会い、その試練を、知恵を働かせて乗り切る。その後も頭を使って難題をクリアする。体力がなくても、勇気と知恵があれば成功できることを教えられる。

「ルンペルシュティルツヒェン」
あるところに、美しくて働き者の娘がいた。父親にとっては自慢の娘で、仕事で王宮に行った時王様に、自分の娘は藁から金を作れると嘘をついてしまう。そこで王様はその娘を呼んで、藁から金を作るように命じる。途方に暮れる娘だが、奇妙な小男が現れて、彼女を助けてくれる。しかし、その男は代価としてとんでもない要求をして・・・。無理難題をクリアして幸せをつかむというパターンである。

他2編収録。一つひとつの物語は短いので、その不思議な世界に浸っているうちに、全て読み終えてしまえる、そんな一冊である。
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2017年05月08日

よだかの星

「よだかの星」                          宮沢 賢治
★★★★★



よだかは醜い鳥である。体色は地味、ブサイクな顔。他の鳥はみんなよだかを嫌っていた。よだかは他の鳥から避けられ、悪口を言われていた。よだかは「たか」という名は付いているが、本当のタカ(タカ目)ではない。タカほどの力がないため、他の鳥はよだかを恐れないのだ。

ある夜、タカがよだかのところにやって来て、自分とよだかでは全く違うので、名前を変えろと言う。よだかは自分の名は神からの贈り物なので、変えることはできないと反論する。タカは、名前を「イチゾウ」に変えろと主張する。そして他の鳥に、改名したことを説明して回れと言う。もし明後日の朝までにそうしなければ、よだかを殺すとまで言う。

よだかは思う。確かに自分は醜いが、何か悪いことをしたわけではない。それなのに、なぜこんなに嫌われるのか。

そして、よだかが取った行動とは・・・

子供のころに読んだが、改めて読むと、よだかは典型的ないじめられっ子である。タカはいじめっ子。他の鳥はそれを面白半分で見ている。

宮沢賢治はこの物語でこう言いたかったのだろう。いじめられていても、自分の目標を見つけ、それに向かって進んでいけば、いつか達成できる、輝くことができる。だから、自分だけの夢を見つけて、それに向けて行動しよう。そうすれば、自分の欠点も克服することができるよ、と。

賢治は、そんなメッセージをこの物語に託していたのだろう。

そんなことが分かるのも名作再読の良さですね。
posted by 三毛ネコ at 06:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ラダーシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする