2010年05月10日

野村ノート

「野村ノート」               野村 克也
★★★★★




考える野球。データを重視し、相手を手玉に取る。野村が目指してきたのは、まさにそんな野球である。この本によれば、打者をいくつかの類型に分類し、その打者の特性を考えながら配球を組み立てていく。当たり前のことではあるのだが、プロの選手や監督はこんなことを考えながら試合をしているのかということに気づかされる。

左打者と右打者のバッティングの違いなどは初めて知ることである。左打者の場合、スイングと同時に一塁方向へスタートするため、内角のボールが打ちやすいのだ。だから打率も上がりやすい。首位打者の多くは左打者である。そう考えると、元阪神の今岡や横浜の内川の高打率でのタイトル獲得はすごい記録なのだと分かる。特に、内川は.378という高打率だった。相当に高度な技術を持っているということである。彼なら、メジャーへ行っても3割は打てるだろう。

松坂の投球はフォームから予想される球速と実際の球速が同じぐらいなので打ちやすいというのも驚きである。松坂と言えば日本を代表するエースであるが、プロの目から見ると打ちやすいピッチャーらしい。

イチローファンとしては、彼についての記述も無視できない。イチローはA型(基本的に直球を待ちながら、変化球にも対応する)らしい。元ヤクルトの古田などは、D型(球種にヤマを張る)である。しかし、もしイチローが天性のバットコントロールと動体視力に加えて球種を予測するようになったら、そのとき彼はきっと4割を打つという気がしてならない。その時が楽しみである。

そして野村は、野球の9つのポジションと打順にはすべて役割があるので、9種類の適切な選手を集めることが大事だと言う。実はこの考え、サッカーライターの杉山茂樹さん(4‐2‐3‐1サッカーを戦術から理解するの著者)の主張と一致するのだ。彼はフォーメーションにこだわり、選手をポジションに当てはめるサッカーをすべきだと主張する。各選手が自分のポジションで自分の役割をきっちり果たしてくれれば勝てるという考えである。もちろん、野球とサッカーでは競技の性質が違うので、この意見を正しいと言い切るわけにはいかない。しかし、ものごとの本質は相通じる部分がけっこうあるものなので、同じことがサッカーでも言えるのかもしれない。

野村は「理」に基づく野球をすべきだと言う。その通り、この本の考え方も本当に理詰めである。この本のもとになった「野村の考へ」をプロの選手が読んでいるというのもうなずける。野球の奥深さを垣間見た思いがする。野球をより深く、楽しく観戦できる本である。




ラベル:野村克也 野球
posted by 三毛ネコ at 17:12| Comment(3) | TrackBack(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 野村監督は本当に面白いですね。野球は頭でするスポーツだと最初に言ったのが野村監督ではないと思います。この本も読んでみたいですね。
Posted by 倉井人生 at 2010年05月16日 13:13
「か」が抜けました。「野村監督ではないかと思います」と書いたつもりでした。
Posted by 倉井人生 at 2010年05月16日 13:16
コメント、ありがとうございます。現在のプロ野球は野村監督が作った、と言っても過言ではないと思います。今、入院しているらしいですが、無事であることを祈りたいです。
Posted by 三毛ネコ at 2010年05月17日 12:49
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