2011年02月13日

パラレルワールド・ラブストーリー

「パラレルワールド・ラブストーリー」              東野 圭吾




パラレルワールド。決して交わることのない2つの世界。そんな中で物語は進行する。いや、正確に言えば2つの世界はほんの少しずつ、交わるのだ。そして、2つの世界には何か関連があるらしいことが分かってくる。不審な点も次々出てくる。いったい、真相はどこにあるのか?

少し変わった設定ではあるが、面白いミステリーになっている。主人公たち3人は複雑な関係になってしまう。そして描かれる2つの世界。その2つがつながったとき、そこには衝撃的な真相が−。

友情と恋愛、どちらを取るか。と書くと、古臭いテーマのようだが、さすがに東野圭吾。理系の専門知識を生かした設定で、うまくこの古くからあるテーマを料理している。私の好みで言えばあまり人間ドラマに興味はなく、ミステリーの真相だけ関心があるのだが、やはり読者が魅かれるのは普遍的な人間模様なのだろう。そういう意味でも、この作品は十分に読み応えのあるものになっている。

私たちは自分の記憶を強固なものだと思っているが、実際はかなりあやふやなものでしかないのだ。そんな不安定な記憶の世界をこの作品は描き出している。私たちは過去の記憶に基づいて生きている。もし記憶がなければ、何もできなくなってしまうだろう。記憶こそがわれわれを形作っているものなのだ。そんなことを再認識させられた小説であった。

ラストの智彦(主人公の親友)の手紙は感動的である。それには親友への友情と自分の責任を全うしようとする思いがあふれている。それはこのストーリーを読んできた読者の心を動かさずにはおかないだろう。またひとつ、私の好きな作品が増えた。





posted by 三毛ネコ at 14:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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