2011年04月04日

ぼくには数字が風景に見える

「ぼくには数字が風景に見える」                  ダニエル・タメット             




水曜日は青色をしている?素数は丸い小石のような感触?いったい,どういう人物なのか。答えは…この著者は共感覚を持ったサヴァン症候群なのだ。共感覚とは,数字を見ると色や形が浮かぶ感覚のこと。サヴァン症候群は,映画「レインマン」の主人公のように,天才的な計算能力などを持った自閉症の一種である。

この人によれば,素数は「美しい」らしい。また,言葉(英単語)にも色がついているように感じられるという。普通の人とはまったく違う感覚,世界観があることにまず驚いた。

彼の成長ぶりが自伝の形で描かれるのだが,もちろん平凡ではなく,非常に興味深い。サヴァン症候群の長所と短所がよく表れている。彼は自分の決めた規則どおりにやらなければ落ち着かない。それで,小学校時代に,自分のコートを掛けるフックを決めており,そこがふさがっているとコートを着たまま授業を受けたという。それでいて,英単語の意味のテストは非常によくできた。dogという単語ならそれを視覚化し,dの突き出した部分を犬の耳に,gの下の部分を尻尾にして単語そのものを犬のイメージで捉えるのだ。このやり方を試したことはないが,たぶんかなり覚えやすくなると思う。

この本を読むと,差別的な表現ではあるが,私たちとは全く異なる世界観とルールの中で生きている人がいることを思い知らされる。人とは違うこと―それが悪いことではないのだ,ということに気づく。そして,月並みだが,自閉症というハンディを持ちながら前向きに生きている著者の生き方にさわやかな感動を覚える。また,彼の見る数字の世界はとても美しく,魅力に富んでいることが分かる。そんな世界を一度はのぞいてみたい,と思わせる本である。




posted by 三毛ネコ at 14:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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