2012年02月20日

鳥人計画

「鳥人計画」                          東野 圭吾
★★★★★




傑作である。私はこの本にたまたま出会って東野さんのファンになった。彼が人気作家になる前から,多くの作品を読んできた。このような普通の推理小説ではない,ちょっとひねったミステリーを読んだのはこの本が初めてだった。それだけに強烈に印象に残った。今でもまだその「計画」をはっきりと覚えているぐらいである。いつかはこの作品についてもレビューを書かねばと思っていたが,ようやくその機会が巡ってきた。

スキーのジャンプ競技を主な舞台にして物語は展開していく。スキージャンプの選手たちの不自然な失敗ジャンプ。そしてあるジャンパーの不審死―その死は殺人だった。

私の記憶では,この小説に殺人の要素はないと思っていたのだが,やはりそこは乱歩賞作家,ちゃんと殺人も組み込んである。

スキージャンプ競技の話なので,登場人物のジャンプを分析したグラフなども出てくるのだが,分かりやすく説明してあるので,読みにくいというほどではない。この作品をよりリアルに感じさせる小道具となっている。

二度読んでも,やはり面白い。殺人事件の謎とある「計画」の謎が並行して描かれていく。その組み合わせ方などが上手い。ぐいぐい読ませる力がある。なぜこの作品が文学賞をとらなかったのか不思議なくらいだ。

恐るべき計画と殺人事件の謎が結びつき,事件の真相が明らかになる。そのとき,読者は間違いなく感心するだろう。その緻密な構成に。だいたいの東野作品は読んだが,やはりこの小説は一番のお気に入りである。
posted by 三毛ネコ at 12:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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