2007年06月17日

ジュラシック・パーク

「ジュラシック・パーク」       マイケル・クライトン
★★★★★





マイクル・クライトンの最高傑作。舞台はコスタリカの島。ある男が、壮大な計画を立てる。最新の遺伝子工学で恐竜をよみがえらせ、一大テーマパークを作ろうと言うのだ。しかしそこでトラブルが起きはじめ、出資者を含む一団がその島を視察に訪れる。そこには、一行の予想をはるかに超える冒険が待ち受けていた…

著者のストーリーの作り方のうまさには感心する。最新の科学知識を駆使したサスペンスは、作者の最も得意とするところ。まさに天才の仕事としか言いようがない。

また、映画監督の経験があるせいか、映像がリアルに浮かんでくるような情景描写になっている。ただ、恐竜の行動には少し無理がある。

クライトンの作品は、現代社会の発達しすぎた科学への警鐘となっていることが多い。この小説などは、その典型と言える。

作品中にたびたび登場するカオス理論は、非常に興味深かった。素粒子物理学や数学には限界があるという事実、さらには科学そのものに限界があるという主張は、現代社会の現実を見事に言い当てているように思える。科学の法則のひとつに、エントロピーの法則というものがある。有用なエネルギー(石油・石炭など)は一度使われると、二度と使えないエネルギーへと変化してしまうという法則であり、どれだけ科学技術が発達してもそれを補うことはできない。この法則などは、まさにクライトンの主張とぴったり一致する。

また、この本の中にはカオス理論を主張する数学者VS目の前の問題を解決する技術者という構図が出てくる。その数学者は技術者を見せかけの知能しか持っていないと言って非難し、技術者はその数学者を理論屋に過ぎないと言う。確かに、目前の問題の解決しか考えない技術者が原爆や水爆を作り出したのであるが、現実を変えることのできない理論など何の役にも立たない。人間の目の前にあるのは日々の生活であり、行動である。ある種の現象は予測不可能だとカオス理論は言うが、予測できないからといって人間は行動をやめるだろうか。人間を成長させるのは未知の物事に取り組もうとするチャレンジ精神だと思う。そういう意味では、クライトンの結論には納得できないものが残る。

そんなごちゃごちゃした理屈を抜きにしても、この本は十分面白い。極上のエンターテインメントである。オススメの一冊。
posted by 三毛ネコ at 06:41| Comment(0) | TrackBack(1) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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ジュラシック・パークV
Excerpt:  「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆」  映画としては結構面白い。  ジュラシック・パークシリーズ第三弾にして最後の作品(ただ『スターウォーズ』のように新三部作をやるとか
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