2019年12月29日

前作と同様、文法的な解説を通して、ヘミングウェイの作品をより深く味わうことができる本です。

前作が良かったので、2が出たと知ってさっそく購入した。

「ヘミングウェイで学ぶ英文法2」    倉林秀男、今村楯夫
★★★★★



日本語→英語→文法的な説明の順になっているが、前作と同様、英語から挑戦。題材はヘミングウェイの短編小説である。

・Indian Camp ニック、その父(医者)、おじのジョージは湖のそばでキャンプをしている。そこへ、インディアン(今で言うネイティブアメリカン)がやって来る。インディアンの女性の具合が悪いので診てもらいたいというのだ。3人はボートでその村に向かう。付いてみると、その女性は妊娠しており、出産するところだったのだ。その大変な様子が描かれる。その後どうなったかは読んでいただくとして、その時に大変なことが判明する。それも前触れもなく、突然に。文法的な説明を読めば分かるが、ヘミングウェイはできるだけ表現をそぎ落とし、読者に意味を想像させる作家のようだ。それでも、前書に比べると中身に目が向くようになってきた。

・A Clean, Well-lighted Place とあるカフェが舞台。一人の老人が静かに酒を飲んでいる。彼は酔いすぎると酒代を払わずに出て行くので、ウェイターたちはその老人を注意深く見守っている。先週、この老人は自殺しようとした。多くの財産があるにもかかわらず。自殺未遂の理由は明かされない。酒のお代わりを要求する老人。ウェイターたちの会話により、だんだんと老人の事情が明らかになっていく。老人は心に闇を抱えているようだが、全体として静かに流れていく物語である。

・I Guess Everything Reminds You of Something 父と10歳の息子が主人公。少年は小説を書いていて、どうやら文才があるようだ。2人は小説についての会話をし、父は少年に「全てを書こうとせず、聞いたことだけを書け」と言う。「実際に聞いたことだけに意味がある」のだと。父と少年は競技としての射撃もしており、その様子も描かれる。少年は10歳にして射撃の達人だった。射撃の描写にはリアリティーと緊張感がある。ヘミングウェイは体験を重視して書くタイプの作家なのだ。ここから先は、ネタバレになるので書かない。

他にも、3〜4ページの短編を2編収録。あまりに短いので、このレビューでは割愛した。ラストは、名作「老人と海」のラストシーンを収録している。しかし、これも読んでいない人にはネタバレになるのでここでは触れない。

文学作品を鑑賞するには、高いレベルの文法知識が要ることを再び感じさせられた本だった。それでも、解説のおかげで文豪の作品に英語で少し深い部分まで触れることができ、非常に有意義な読書だった。
posted by 三毛ネコ at 15:31| Comment(0) | 洋書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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