2007年12月23日

白仏

「白仏」                 辻 仁成
★★★



舞台は、筑後川下流の島。明治、大正、昭和の時代を生きた一人の職人の物語です。この作品は、フランスのフェミナ賞を受けました。

主人公の人柄や心情が、非常に細やかに描写されています。身近な人物の死を通して、人間の生や死の意味について考え、結局わからないまま死んでいく主人公。これが人生というものだと感じさせられます。

また、この小説では、主人公が自分の住んでいる村のすべての墓から骨を集め、すりつぶして粉にし、それを使って仏像を作るのですが、この行為からは、生きとし生けるものすべてが同根から生じるという仏教的な思想が読み取れます。主人公が50年以上生きてきて、やっとたどりついた一種の悟りといってもいいでしょう。

さらに、この考えは、神のもとではみな平等であるというキリスト教の精神とも一致します。だからこそ、国民の90パーセントがカトリックであるフランスで、この小説が評価されたのではないでしょうか。

非常に味わい深い作品です。皆さんも、ぜひ一度読んでみてください。
ラベル:フェミナ賞 小説
posted by 三毛ネコ at 15:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 純文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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