2020年06月13日

天才、スティーブ・ジョブズの伝記です。

「Steve Jobs: The Exclusive Biography」   Walter Isaacson
★★★★★



ジョブズは学校秀才型の人物ではない。高校の時はマリファナやLSDをやっていたらしいし、権威に反発する若者だったようだ。ジョブズは大学生の頃禅や瞑想をしていた。そのとき培った直感が後に仕事に役立ったと彼は言う。確かに、iPhoneやiPodは直感的に使える。少し、彼の発想力の源を見た気がした。

ジョブズはガレージで会社をスタートさせた。そして今やアップルは世界的大企業である。このあたりは、ホンダやソニーとも似ている。

ジョブズたちが作った最初の製品、アップルTはデザインが洗練されていなかったらしい。今のアップル製品からは考えられないことだが、まあ、最初は何事もそんなものであろう。

読んでいくと、アップルVあたりからもう革新的なコンピューターだったことが分かる。パソコンと言えばWindows、と思っていた私には新鮮な驚きだった。

また、ジョブズが現在のような形のマウス(全方向にポインターを動かせる)を作ったのだということも初めて知った。現在のパソコンの原型はジョブズが作った、といってもいいだろう。

ジョブズはアップルの新規株式公開によって、25歳で一気に億万長者になる。

そして、あの「マッキントッシュ」が開発されるのである。ジョブズはマウスを使えるようにすることを主張していたのだが、反対の声も大きかった。

初代のマッキントッシュの開発中に、ジョブズはすでに現在のノートパソコンのようなものを作る構想を持っていたらしいのだ。さすがにジョブズ、と言うしかない。

マッキントッシュに対する反響はものすごかった。その後、ジョブズはビル・ゲイツとも出会った。アップルを追放されるなど、色々ゴタゴタもありながら、ジョブズの人生は展開していく。

読みやすい文章でジョブズの人生、アップルのパソコンの歴史などが語られる。

ジョブズは天才ではあったのだろうが、怒りやすく、気難しい性格だったようだ。付き合いにくい人間だったのだろう。

ジョブズが死んでしばらく経つ。iTunesとiPod、iPhone、iPad……ジョブズは天性と言える先見性で次々とそれまでの常識を変える製品を世に送り出してきた。しかし彼の死後、アップルは斬新な新製品を発売できずにいる。

やはりジョブズあってこそのアップルだったのだ。今ジョブズが生きていたら、あっと驚く新しいものを生み出していたに違いない。改めて、彼の存在感を意識せずにはいられない。

もう少し生きていてほしかった。それが率直な読後感である。
ラベル:多読
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2020年06月06日

有名な映画のノベライズ版です。

「アルマゲドン」     M.C. ボーリン
★★★★



人気映画のノベライズ版である。ルビ訳が付いている。映画の方はすでに見ていた。

時間の表示とともにヒューストンのジョンソン宇宙センター、スペースシャトルなど、場面が切り替わって話が進んでいく。シェルビーという宇宙飛行士が宇宙船で作業をしていたのだが、トラブルがあって、彼は死んでしまう。そして、スペースシャトルは爆発した。

その後、マンハッタン島に隕石が落ちる。落ちた周辺は大きなダメージを受けた。当初、人々は何が起きたのか分からなかったが、ジョンソン宇宙センターの指揮官、トルーマンはそれが隕石雨だと気づいていた。スペースシャトルが爆発したのも隕石雨のせいだったのだ。

そして、その後とてつもない大きさの小惑星が地球に接近していることが明らかになる。テキサス州と同じ大きさである。地球のどこに激突しても、人類は滅亡する。小惑星の衝突まであと18日……。専門家たちはどうやって隕石の衝突を避けるか、アイデアを出し合っている。

ここで、ブルース・ウィリスが演じるハリー・スタンパーの登場である。ハリーは石油採掘技術者。娘の彼氏に向かって銃をぶっ放すような、ウィリスのイメージにぴったりのイカれた野郎だ。隕石に穴を空け、核爆弾を隕石の中に埋め込み、中から爆発させて破壊する。そのために呼ばれたのがハリーだ。

ハリーの職場に軍隊がヘリコプターでやって来て、国の安全のために彼が必要だと言い、強引に連れて行く。

そして、自分への頼みの内容を知ったハリーは、同行する3人を選び出す。

果たして、ハリーたち(合計14人)は人類の危機を救うことができるのか?

Pucker up!(終いにしろ!)、How’s it hangin’?(具合はどう?)、dumb-ass(バカな腰抜け)など、知らないスラングがたくさん出てくる。ルビ訳がなければ理解できない所がかなりあった。

映画を見てストーリーを知っていても、技術的なやり取りなどは興味深く読めた。けっこう楽しめた作品だった。
ラベル:多読 小説
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2020年05月09日

おなじみのくまのプーさんです。ルビ訳で読んでみました。

「くまのプーさん」              A. A.ミルン
★★★★
 


A. A.ミルンが息子のロビンのために作った物語である。ロビンはプーというクマのぬいぐるみを持っていた。ミルンはそこからストーリーを作ったのだ。

1章。昔むかし、ウィニー・ザ・プーはサンダースという名刺がかかった家に一人で住んでいた。ある日、プーさんはハチミツを採ろうとして木登りをし、ミツバチの巣に近づいたが、枝が折れて下に落ちてしまう。

息子のロビンも話の中に出てくる。彼は森の緑のドアがある家に住んでいた。ロビンの知恵で、プーさんはハチミツを採るために青い風船で自分を空の一部に見せかけて巣に近づこうとする。さらに、念のためにプーさんは体を泥まみれにしていく。ロビンがふくらませた風船から手を離すと、プーさんは風船の力で空に浮かび上がる。プーさんは無事にハチミツを採れたのか?

2章では、プーさんが鼻歌を歌いながら森の中を歩いている。砂の土手のところに来て、大きな穴を見つける。プーさんは、たぶんウサギの巣穴だと考える。首を突っ込んで「だれかいるの?」と聞くが、「だれもいない」と返事が返ってくる。プーさんはしばらく考えて、また「ウサギさん、そこにいるの?」と再び聞く。ウサギはそこにいないと言うが、相手がプーさんだと分かり、入ることを許す。その後は、この物語らしくプーさんがドタバタ騒ぎを起こす。

そして3章。プーさんとピグレット(子ブタ)がウーズゥールという謎の生き物の足跡を見つけてその後を追う。追っているうちに、2種類の足跡は4種類に増える。プーさんたちは熱心に後を追うが、実は……というお話。

全部で10章あるのだが、たわいなく、ほほえましい話ばかり。英語も平易で読みやすいが、ところどころにcrossly(むっとして)、jiggeting(あばれる)といった難しい単語も出てくる。しかし、ルビ訳が付いているので大丈夫。子どものころ読んでいるはずだが、覚えていない話も多かった。英語学習の初期に読んだ本の再読だが、そのころ読解力不足で100%理解できていなかったところも、難なく分かるようになっている。そんな進歩を実感できた読書だった。
ラベル:多読
posted by 三毛ネコ at 14:32| Comment(0) | 洋書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月18日

ノーベル賞作家、カズオ・イシグロの代表作です。280ページぐらいでしたが、なかなか手こずりました。

「Never Let Me Go」 Kazuo Ishiguro
★★★



ノーベル賞作家の代表作である。ドラマにもなったが、私は見ていない。

英語なので読み取りづらいのだが、どうやら主人公の「私(キャシー)」はヘールシャム(Hailsham)で育ち、世話をする人(carer)らしい。子どもの時は普通に友達とおしゃべりなどを楽しんでいた。

しかし、なぜか年齢に応じてシニア2、シニア3などと分けられている。そして、ときどき「選ばれて」「まだ選ばれていない」といった表現が出てくる。また、ガーディアン(Gardian)という言葉もある。どうやら、こういった言葉がキーワードになりそうだ。

ガーディアンには自分たちの居住区があり、ヘールシャムに住む「私たち」の世話をしている。

この物語の子どもたちはある運命を背負っている。ある「もの」を寄付することになっているのだ。

主人公たちは作文や絵画など、普通の学生らしいこともしている。しかし、自分たちが「外」の世界の人間と違うことにも気づいている。

子どもたちはトークン(token)という通貨をもらい、それを使ってセール(Sale)で自分の服などを買う。

そんな生活の中、子どもたちが森に誘拐されるという噂が広がる。森については恐ろしい話がたくさんある。誘拐された子どもが木に縛りつけられて手足を切り落とされていた、女の子の亡霊が森をさまよっている、など。ガーディアンは強く否定するが……。

そして前半でNever let me goというタイトルの由来も明らかになる。事情を知って読むと、実に意味深なタイトルである。

意外なことに、前半3分の1ぐらいのところで真相が明かされる。不思議なのは、パニックや暴動が全く起きないことだ。薄々知っていたとはいえ、自分は絶対に嫌だという子どももいるはずである。まあ、本書にあるように薄々子どもたちが真相に気づいていたということと、生まれた時からその運命を受け入れるように教育されていたからかもしれない。

しかし、人権などどこにあるのかと思いたくなるストーリーである。あるいはどんな形にせよ、人の役に立てていることに価値を見いだすことができたのだろうか?とてもそうは思えないが。キャシーの友人、トミーの言葉が突き刺さった。「ぼくたちに魂はないと誰かが考えたんですか?」

ディストピア小説ではあるのだが、運命にあらがわずに生きていく主人公たちが印象に残った作品だった。
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2019年12月29日

前作と同様、文法的な解説を通して、ヘミングウェイの作品をより深く味わうことができる本です。

前作が良かったので、2が出たと知ってさっそく購入した。

「ヘミングウェイで学ぶ英文法2」    倉林秀男、今村楯夫
★★★★★



日本語→英語→文法的な説明の順になっているが、前作と同様、英語から挑戦。題材はヘミングウェイの短編小説である。

・Indian Camp ニック、その父(医者)、おじのジョージは湖のそばでキャンプをしている。そこへ、インディアン(今で言うネイティブアメリカン)がやって来る。インディアンの女性の具合が悪いので診てもらいたいというのだ。3人はボートでその村に向かう。付いてみると、その女性は妊娠しており、出産するところだったのだ。その大変な様子が描かれる。その後どうなったかは読んでいただくとして、その時に大変なことが判明する。それも前触れもなく、突然に。文法的な説明を読めば分かるが、ヘミングウェイはできるだけ表現をそぎ落とし、読者に意味を想像させる作家のようだ。それでも、前書に比べると中身に目が向くようになってきた。

・A Clean, Well-lighted Place とあるカフェが舞台。一人の老人が静かに酒を飲んでいる。彼は酔いすぎると酒代を払わずに出て行くので、ウェイターたちはその老人を注意深く見守っている。先週、この老人は自殺しようとした。多くの財産があるにもかかわらず。自殺未遂の理由は明かされない。酒のお代わりを要求する老人。ウェイターたちの会話により、だんだんと老人の事情が明らかになっていく。老人は心に闇を抱えているようだが、全体として静かに流れていく物語である。

・I Guess Everything Reminds You of Something 父と10歳の息子が主人公。少年は小説を書いていて、どうやら文才があるようだ。2人は小説についての会話をし、父は少年に「全てを書こうとせず、聞いたことだけを書け」と言う。「実際に聞いたことだけに意味がある」のだと。父と少年は競技としての射撃もしており、その様子も描かれる。少年は10歳にして射撃の達人だった。射撃の描写にはリアリティーと緊張感がある。ヘミングウェイは体験を重視して書くタイプの作家なのだ。ここから先は、ネタバレになるので書かない。

他にも、3〜4ページの短編を2編収録。あまりに短いので、このレビューでは割愛した。ラストは、名作「老人と海」のラストシーンを収録している。しかし、これも読んでいない人にはネタバレになるのでここでは触れない。

文学作品を鑑賞するには、高いレベルの文法知識が要ることを再び感じさせられた本だった。それでも、解説のおかげで文豪の作品に英語で少し深い部分まで触れることができ、非常に有意義な読書だった。
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2019年10月12日

ヘレン・ケラーの自伝です。前半が自伝、後半は家族や教師とやりとりした手紙、という内容になっています。

「The Story of My Life (Signet Classics)」       Helen Keller
★★★★★



ヘレン・ケラーの自伝である。前半が自身で書いた自伝、後半はヘレンの大学に入るまでの手紙が掲載されている。

ヘレン・ケラーは1880年、アメリカのアラバマ州で生まれた。父は軍人だった。ヘレンは幼少期の楽しい思い出を綴っているが、それは長くは続かなかった。彼女は病気になり、視力と聴力を失ってしまったのだ。医者には助からないとまで言われた。が、何とか一命は取りとめた。

しばらくするとヘレンは、自分はサインを出して意志を伝えているのに、他の人は口で自分の意志を伝えていることに気づく。自分も真似をしてみるが、それができないため、怒り、泣きわめく。しかし、そんなヘレンにも遊び相手がおり、けっこうわんぱくだったようだ。

両親はしつけの必要を感じ、ここでサリバン先生の登場となる。ヘレンが7歳の時である。サリバン先生に人形を渡され、手に「d-o-l-l」と書いてもらった。そこでヘレンは初めて物には名前があり、それを表す単語が存在することを知ったのだ。それまで暗い、何も聞こえない世界にいたヘレンの喜びはいかばかりだっただろうか。その喜びが生き生きと描写されている。

それでも、目も見えず、耳も聞こえないのだから、人とコミュニケーションを取るのも大変である。文章を組み立てて話をするための努力は相当大変だったようだ。ヘレンは後に言っている―自分の人生はサリバン先生と切り離しては考えられないと。

その後、ヘレンはボストンに引っ越し、そこで盲目の子供たちと友達になる。初めて、同じやり方でコミュニケーションを取る体験をしたのだ。

そんな風に成長していくヘレンだった。三重苦の少女、と言うとものすごいハンディのようだが、サリバン先生に会ってからのヘレンは実に生き生きと人生を謳歌している。その様子が活写されている。目も見えず、耳も聞こえないからこそ、逆に新しい物の名前を知ること、新しい知識、学習による世界の広がりの一つひとつが喜びだったのだろう。それが、ハーバード大学卒業という実績にもつながったに違いない。

ヘレンは健常者の喉や舌、唇に触れて真似をすることで、発話することも学ぶ。想像以上の苦労があったようだが、おかげで人と会話する時に手に文字を書く必要がなくなった。相手の話は唇に指を当てて聞き取るのだ。

ヘレンは子供のころから大学、それもハーバード大学に行きたいと思っていた。高校生になって、いよいよその勉強を本格化させる。もちろん、普通の受験生のようにはいかず、大変な苦労をしたようだが、何とか予備試験に合格する。

高校2年になり、苦手な数学なども勉強して、いよいよハーバードの最終試験に臨む。イギリスの点字で学んでいたものをアメリカの点字で解かなければならなかったりして、悪戦苦闘したが、結果は見事に合格!

後半の8歳から大学入学までの手紙も興味深かった。ヘレンの成長ぶりがよく分かるし、見た目は盲目でろう者でも、彼女の内面がどれだけ豊かかが示されている。外見で人を判断してはいけない、とつくづく思わされた本だった。
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2013年01月02日

Master of the Game

「Master of the Game」 Sydney Sheldon
★★★★




キンドルを使って英語で読んだ初めての本。まあまあ面白かった。最初は一攫千金の話で読者を引きつけ,その後もちょっと冗長な展開になりそうなところで何か事件が起きるのである。読者を飽きさせない工夫がされている。

私は英検1級の勉強をしているときに1級レベルの単語集3冊を暗記したのだが,この本を読んでいると,ところどころに1級の勉強の時に覚えた単語が出てくるのだ。1級の単語は難しすぎるといった話を聞くが,全然そんなことはないと思う。ペーパーバックの入門書と言われるシドニー・シェルダンの作品でさえ1級レベルの単語がけっこう使われているのだから,もっとレベルの高い本になれば1級を超える語彙が必要になるだろう。

この本を皮切りに,これからもどんどんキンドルでペーパーバックを読んでいきたいと思う。
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2012年11月05日

Harry Potter and the sorcerer's Stone 

「 Harry Potter and the sorcerer's Stone 」 J.K. Rowling
★★★



 
 1章から,いわくありげな人物が登場し,面白くなりそうな予感がする。
 
 ある日,1通の手紙がハリーに届く。そこから,彼の冒険が始まる―50ページ目を読んだあたりから物語は動き始める。それまでの前置きは我慢して読まなければならない。
 
 ハリーは門番から,自分が魔法使いだということを知らされる。そして彼は魔法の世界へと足を踏み入れるのだが,そこは呪文を書いた本や空飛ぶほうきなど,魅力にあふれている。彼の行く手には何が待ち構えているのか?ご存知の方も多いと思うが,それは実際に本を読んでもらいたい。
 
 子供向けなので,読みやすい英語で書かれている。しかし,私の語彙(11000語ぐらい)でも1ページに2,3個知らない単語が出てきた。それでも,読書を妨げるほどではない。たぶん,このシリーズを読み通すためには10000語を超える語彙が必要だろう。ハリーポッターシリーズを絶賛する人もいるが,私の感覚では普通の面白さ。読み続けることはできるが,どんどん先を読みたいというほどではない。それでも,最後まで読み切れたので,読ませる力は十分持っている作品である。
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