2016年06月25日

M8

「M8」 高嶋 哲夫
★★★★



M8。マグニチュード8である。ずばり、日本でM8の直下型地震が起きる。場所は読んでのお楽しみ。主人公になるのは阪神大震災を学生のときに経験した若手の地震学者。地震予知のシミュレーションをしていて、その予想が半年後の直下型地震だったのだ。主人公の彼女も友人も、阪神大震災を経験し、それぞれ地震に関する仕事に就く。彼らの真摯な姿勢を読み取ると、フィクションだが、震災の与えた影響の大きさを思わずにはいられない。

最初、いくつかの余震が起こる。それを計算に入れてシミュレートしていくと、予測はさらにシビアなものになっていく。

引き込まれるように読ませる力がある。著者は元科学者だけあって、その地震に関する科学的な説明は正確で、このストーリーにリアリティを与えている。東海地震についても触れられているが、南海トラフ地震を含めて、あと何十年かのうちに起こるのは間違いない。この本は、その時のシミュレーションとしても読める。こういった小説は好きなのだが、構成を変えればもっと面白くなったと思う。個人的には、台風をテーマにしたジェミニの方舟のほうが気に入っている。

この本にあるように、地震の予測シミュレーションは可能になるのだろうか。東海や南海トラフ地震が予知できるなら、被害は相当減らせるはずだ。そんな日ができるだけ早く来ることを願うのみである。
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2010年04月12日

ジェミニの方舟 東京大洪水

「ジェミニの方舟‐東京大洪水」           高嶋 哲夫
★★★★★




パニック小説。パニック映画。どちらも大好きである。こういった小説は夢中になって読めるだけでなく、生の体験が少なくなり、危険を感じることの少ない安全な国ニッポンで「リアル」な恐怖を感じさせてくれる。どれだけ場面が緊迫しようとも、そこは架空の話、のんびりとストーリーを楽しめる。これぞ小説の醍醐味。

「M8」や「TUNAMI」を書いた人だけあって、自然災害の情報がかなり詳しく書かれている。ついでに、そういった知識も得られる。自然災害に対する警告の書である。

降りしきる雨。近づく異様に大きい台風。日本列島を縦断することもなく、無事に通り過ぎるのだが、自然の力とは恐ろしい。その台風は、予想もつかない動きをし、そして東京は…

簡潔でムダのない文体。乾いた文体、と言ってもいいだろう。パニック小説を書くにはぴったりである。淡々とした語り口が、かえってリアリティーを感じさせる。緊迫感が行間から伝わってくる。フィクションとはいえ、その描写には迫力があり、ハラハラさせられる。しかし、どこかでそういうスリルを望んでいる自分がいるのも確かだ。

「たかが台風…」この物語の中の人々は大半がそう考えているようだ。そして、気づいた時には手遅れになっている。地震、津波、台風…日本は災害大国なのだということを改めて思い知らされる。阪神大震災の時、政府の対応はかなり遅れた。国ももちろんだが、私たち一人ひとりが災害に対する意識を高めることで、状況はかなり変えられるはずだ。天災は防げないが、それに伴う二次災害は防げる。

途中から面白くなり、最後のほうは一気に読んでしまった。こんなことは久しぶりである。力のある小説であることは間違いない。




posted by 三毛ネコ at 15:11| Comment(0) | TrackBack(0) | パニック小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする