2017年02月27日

フィヨルド殺人事件

「フィヨルド殺人事件」                       スティーヴン・スペイト
★★★★



ノルウェーのフィヨルドを見に来た一組の夫婦。周りには誰もいない。絶壁のところで夫婦は立ち止まり、妻は、怖いから戻ろうと言う。しかし夫は、重いカメラを妻に巻き付け、絶壁から下に突き落とす。

しかし、下にはボートに乗った2人の子供がいた。彼らは女性が水の中に落下するのを見た。そして、水の中からカメラのフィルムを拾う。子供たちは警察に通報する。警官は彼らと一緒に現場と思われる場所に行き、ガラスのかけらを見つける。そして、青い毛糸も。警察はこれを事件とみて、捜査することを約束する。

子供の一人、ポールはフィルムを現像してもらうために写真屋に行く。写真の大部分は風景などを写したものだったが、興味深い写真が2枚あった。そこに写っていたのは・・・

犯人は完全犯罪をやり遂げたと思っている。確かにその通りで、証拠はほとんど残っていない。しかし、ポールという子供は刑事顔負けの推理をしてみせるのである。手がかりを追うポール。果たして、彼は犯人の元に辿り着くことができるのか・・・?

推理小説のようだが、犯人は最初から分かっている。フーダニットではなく、子供たちや警察がどうやって推理し、犯人に迫っていくのかが読みどころ。それなりに楽しめる小説である。
タグ:小説 多読 英語
posted by 三毛ネコ at 12:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ラダーシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月19日

アウトサイダー

「アウトサイダー」                      フレデリック・フォーサイス
★★★★★



「ジャッカルの日」などを書いた、人気作家、フレデリック・フォーサイスの自伝である。

フォーサイスはイギリスで生まれた。パイロットになることを夢見た少年時代。学校が休みの間、フランスやドイツに滞在した。語学が得意で、15歳で、大学進学の資格条件になる語学の試験に合格する。

そして、飛行クラブでパイロットになるための飛行訓練も受けることもできた。16歳のときである。その後、民間のパイロット免許を取る。

17歳で4か国語を話せるようになっていた。

それから、希望通りイギリス空軍に入ることができたのだ。そしてジェット機のパイロットになれたのだが、そのまま空軍にとどまっていてもパイロットは続けられないと分かり、除隊する。

次の夢はジャーナリストになり、世界中を見て回ることだった。そして新聞社に入り、あるきっかけから、何とあのロイター通信の記者になる。特派員として、東ドイツにいたこともある。その間に、フォーサイスの書いた通信文が、あわや第3次世界大戦を引き起こすか、と思われる出来事もあった。

その後、BBCの記者になるが、あくまで公正な報道をしようとしたために居づらくなり、辞表を書くことになる。

BBC時代には、アフリカでの紛争を経験したこともあった。迫撃砲を撃たれながら戦地を脱したこともある。

フォーサイスの小説は2冊しか読んでいないが、上記のような普通の人がしそうもない経験が、後の作品につながっていったことは容易に想像できる。

デビュー作、「ジャッカルの日」がたった35日間で書かれたという記述には驚かされる。「才能」としか言いようがない。

なかなか波瀾万丈の人生で、こんな人生でなければあれだけの小説は書けないだろうな、と思わされた。なかなか興味深く、もっと彼の作品を読みたくなる、そんな自伝だった。
posted by 三毛ネコ at 14:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月12日

A Christmas Carol

「A Christmas Carol」 Charles Dickens
★★★



「クリスマス・キャロル」のリライト版。

スクルージは気難しい男で、金だけを愛していた。性格は冷たく、友人もいなかった。しかし、本人はその状態で幸せだった。

さて、あるクリスマスの前夜においのフレッドがスクルージのオフィスに入ってきた。フレッドは笑顔で「メリークリスマス!」と言うが、スクルージは「何が楽しい?」とにべもない。

その夜、スクルージのところに元相棒だったマーレイの幽霊が現れる。そして、3体の幽霊がスクルージの前に現れると言い残して消えてしまう。その後、窓の外を見ると、鎖をつけた幽霊が外を歩き回っているのが見えた。

スクルージは窓を閉め、何とか眠りにつくが、目が覚めるとまだ暗く、午前2時に寝たはずなのに時計の針は午前12時を指している。そして1時になると、最初の幽霊が現れる。そいつはスクルージを連れて外に出る。そこはスクルージが子供時代を過ごした町だった。自分の過去を見せられるスクルージ。彼にもかつては愛する家族や親しい友人がいたのだ。

その後、2人目、3人目の幽霊が現れ、スクルージは人生において本当は何が大切なのかを悟っていく。

有名な物語だが、スクルージの心境の変化がかなりあっさりと書かれている。そのため、心から満足できる読書にはならないが、短くてすぐ読み切れるので達成感はあった。
posted by 三毛ネコ at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 英語 penguin readers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月06日

Level 1 WILLIAM TELL

「Level 1 WILLIAM TELL 」          Friedrich von Schiller
★★★



有名なウィリアム・テルの英語リライト版である。

舞台はスイス。当時はオーストリアの皇帝の支配下にあった。国民はスイスを自分たちの手に取り戻したかったが、そのきっかけをつかめないでいた。

ほぼ登場人物のセリフのみで物語は進行する。オーストリアはスイス国民に重い税金を課していたので、国民は苦しんでいた。それで国民は、スイスの統治者であるゲスラーのところへ陳情に行った。しかし、ゲスラーはその言葉を聞こうとはしない。スイス国民が必要としていたのは、現状を変えてくれる「英雄」だった。

ゲスラーは自分の執務室の前の木に自分の帽子を引っかけて、スイス国民にその帽子を見たら立ち止まり、ゲスラーとオーストリア皇帝に対する愛を示せと言う。心からそんなことをするスイス人がいるわけがないのだが。

その後、有名なあのシーンが出てくることになる。テルの息子が、テルは30メートル離れたところからクロスボウでリンゴを射抜くことができると言い、実際にやってみせることになるのだ。

この物語は子供の時に読んだことがあると思うのだが、息子の頭の上のリンゴを狙って矢を放つシーンしか覚えていなかった。しかし、この話には続きがあるのだ。それは読んでのお楽しみ。

簡単な英語(語彙が300ワード)でリライトされているので、誰でも楽しんで読めるだろう。しかし、このレベルの読み物をバカにすることはできない。私自身、リライトされた英語の小説を100冊読んだら、英語のリーディング力がグンと上がった、という経験をしている。

英語力を上げたいと思っている人はお試しください。
posted by 三毛ネコ at 10:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 英語 penguin readers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月29日

3バック戦術アナライズ

「3バック戦術アナライズ」                   西部 謙司
★★★★★



3バック。何となく守備的で面白くない、というイメージがある。時代遅れという感じもする。そんな3バック戦術を分析し、解説したのが本書である。

オシムとビエルサが非常によく似ている、という説明が面白い。サッカーへの取り組み方が熱心すぎるところ。率いるチームの守備はマンツーマン。ボールを奪った後の切り替えの速さとダイナミズム。どちらも天才的なトレーナーであること。ビエルサのサッカーは見たことがないので何とも言えないが、オシムについてはある程度分かる。しかし、2人とも素晴らしいサッカーを展開するのだが、1シーズンの最後まで戦い抜けずに消耗してしまうので、タイトルはあまり取れないところまで似ているという。確実に勝てるサッカーと理想的な素晴らしいサッカーは違う、ということなのかもしれない。

最初はフランスリーグマルセイユの現監督、ビエルサが採用している3バックの解説である。しかし、彼のシステムは中盤がダイヤモンド型の3-4-3で非常に攻撃的なサッカーだ。守備的で5バックになりやすい3-5-2とは異なる。1章はビエルサについての考察が中心である。

次はグアルディオラのバイエルン・ミュンヘンの戦術を解説していく。戦術好きにとっては非常に興味深い説明だ。

さらに、ブラジルW杯のオランダ-スペイン戦も分析している。オランダは守備的な5バックで臨んだ。対スペインではバイタルエリアをどう守るかが重要になる。結論としては、相手がバイタルエリアに入ると、徹底的に激しいプレスをかけるのが効果的らしい。オランダはしっかりとスペイン対策の守備をしてきたのだ。攻撃でも、相手をよく研究し、その弱点を突いて1点目、2点目を決めている。オランダが勝ったのはまぐれではない。

また、著者はザックジャパンが3-4-3システムを攻撃ではなく守備のオプションとして使っていればどうだったかと言う。守備で両サイドハーフが引いて5バックになっていればコートジボワール戦は逃げ切れたのではなかったかと。W杯を戦い抜くには守備力が決め手になる、と著者は主張する。守備のオプションなしで臨んだ日本は勇敢というより無謀に近かったということらしい。

オシムもジェフ市原では3バックを使っていた。3バックだから必ずしも守備的ということはなく、相手に合わせて変えていく、そのために状況に応じて3バックも使う、というのが正しい理解のようだ。ブラジルW杯でもオランダやコスタリカが採用したように、決して時代遅れというわけでもない。

もう一つ上のレベルでサッカー観戦を楽しめる、そんな分析や情報が詰まった本である。
posted by 三毛ネコ at 14:32| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする