2018年04月17日

マネー・ボール

「マネー・ボール」                 マイケル・ルイス
★★★★★



今ではそうでもないのかもしれないが、米メジャーリーグのオークランド・アスレチックスはかつて金のない弱小球団だった。そのチームを変えたのがゼネラルマネージャーのビリー・ビーン。しかし、繰り返すが、当時のアスレチックスは貧乏球団。どうして彼はそんなことができたのか?その物語が、今始まる―。

ビリーは高校生のころ、走・攻・守揃った才能あふれる野球選手だった。メジャーリーグのスカウトも彼に注目していた。そしてビリーはニューヨーク・メッツと契約した。

誰もが、ビリーはメジャーリーガーとして成功すると思っていた。しかし、なぜか期待されたような成績を残せず、引退することになる。どうやら、精神的な部分に問題があったらしい。野球向きの性格ではなかったのだ。

時が経ち、アスレチックスのゼネラルマネージャーになったビリー。それまでとは異なり、データに基づいて選手を獲得した。通常重視される足の速さや守備のうまさなどはあまり考慮しない。もちろん、全く無視するというわけではない。出塁率など、他のチームが重視しない部分を大事にしていたのだ。

その新しいデータ重視の野球理論は「セイバーメトリクス」と呼ばれた。ビリーはアスレチックスのゼネラルマネージャーになる前に、すでにその理論を知っていたのだ。彼は小柄でパッとしない選手でも、出塁率が高ければドラフト上位で指名した。それまでの常識にとらわれず、自分の理論に基づく野球をしようとしたのだ。

しかし、なぜか日本のプロ野球界ではセイバーメトリクスに基づいて選手の獲得や野球をしている球団はないようだ。それだけ、まだ日本のプロ野球は古い理論や価値観で運営されているということだろう。

さて、本書ではビリーがセイバーメトリクス理論に基づいて選手を獲得し、独自の野球を行う様子が描かれる。少し古い本だが、野球ファンなら一読する価値のあるノンフィクションである。
posted by 三毛ネコ at 06:24| Comment(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月09日

赤毛のアン

「赤毛のアン」                  L・M・モンゴメリ
★★★★



誰もが知っている「赤毛のアン」。リライトされた文章で読まないほうがいいかな、と思ったのだが、勢いで買ってしまっていたので、読むことに決定。

主人公はもちろんアンである。両親がおらず、マシューとマリラと共にグリーンゲイブルズで暮らすことになる。

アンはそばかすだらけの女の子。自分が美しくないことを自覚している。しかしとても明るく、おしゃべりな女の子である。

しかし、マシューたちは農場を手伝ってもらえる男の子が来ると思っていたことを知り、アンは泣き出してしまう。だが、考えた末にマシューたちはアンを引き取ることに決める。

アンは新しい学校のクラスで一番成績が良かった。彼女にはダイアナという親友がおり、同級生にはハンサムな少年、ギルバートがいた。アンが窓の外を眺めて夢想していたとき、ギルバートが彼女のお下げ髪を引っ張ってからかった。アンは怒り、自分の黒板(この時代には紙のノートがなかったのだろう)をギルバートの頭に叩きつけた。アンは罰として、その後黒板の前に立たされる。

アンはギルバートが許せず、二度と学校に行かないと宣言する。

その後も、いろいろな出来事がありながらアンの多感な少女時代は過ぎていく。

青春を精一杯謳歌しているアンの生活の楽しさが十分伝わってくる作品だった。
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2018年03月31日

フラッシュ・ボーイズ

「フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち」     マイケルルイス



金融市場と聞いて私たちがイメージするのは、色とりどりのジャケットを着た男たちが立会場でどなっている場面だ。しかし、現在ではそんなことをしなくなっているらしい。

2009年にスパイヴィという人物があることに気づいた。彼はアメリカに既存の光ケーブルよりもできるだけまっすぐな(その分、情報が伝わるのが速い)ケーブルを敷設し、銀行など、金融取引をする企業に売り込んだのだ。その結果は実際に読んでいただきたい。

そして舞台は変わり、カナダロイヤル銀行。社員だったブラッドがある会社の株を買おうとすると、ボタンを押した瞬間にその株の表示が消えてしまうのだ。まるで、誰かがその売買を奪い取っているように。思ったような取引ができなくなったブラッドは専門家に相談するが、彼らも解決できなかった。

答えは……超高速取引だった。

あるトレーダーは自分のコンピューターの位置が自分の働いているビル内の配線にできるだけ近い位置にしてほしいと言った。別のトレーダーは光ケーブルの長さをできるだけ短くしてほしいと言っていた。ほんのわずかの時間を短縮し、金融取引で勝者となるために。

そしてブラッドは、ナノ秒間先回りをして利益を奪い取る連中の中で奴らに対抗していこうとする。公平で、インチキのできない仕組みを作ろうというのだ。しかし、前途は多難だった。詳しくは本書で。

金融取引という世界をスリリングかつエキサイティングに描いた本書は、なかなかの出来である。同著者の「マネーボール」も読みたくなった。
ラベル:金融
posted by 三毛ネコ at 14:43| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月18日

Number 3/29

「Number 3\29」
★★★★★



サッカーのロシアW杯が近づいてきた。果たして、本田圭佑は日本代表に選ばれるのか。ハリルの判断は難しい。明らかにコンディションは良くなっているが、メキシコリーグで戦っていることがマイナス材料になるかもしれない。

しかし、巻頭記事にもあるが、本田はここ2大会(南アフリカ、ブラジル)で日本が挙げた6点のうち、アシストも含めて実に5得点に絡んでいるのである。実績も、W杯での経験もあり、コンディションもいい。そんな選手を、簡単に外していいのだろうか。

この後、南アフリカW杯の対デンマーク戦など、本田が活躍していた懐かしい場面の記事がある。改めて、本田が日本代表でしてきた貢献を思い返さずにはいられない。

現在のシステムである4-3-3の左のインサイドハーフで本田を起用したら、という記事もあったが、W杯本番で、親善試合でも試したことのないポジションで本田を使うことはまずないだろう。

しかし、いざという時(特に、相手に引いて守られた時)の切り札として本田を置いておくのは一案である。状態もいいし、今でもいざという時に何かしてくれそうな選手ではあるので。

W杯出場選手の発表が楽しみだ。
posted by 三毛ネコ at 13:51| Comment(0) | Number | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月03日

松井秀喜バイオグラフィ

「松井秀喜バイオグラフィ」             広岡 勲
★★★★★



ご存じ、元メジャーリーガー松井秀喜の伝記である。

松井は生まれたときから大きかった。体重3950gもあったのだ。松井の小学校2年生の時の写真が載っているが、同級生よりも頭1つ以上大きいのだ。

父親が野球ファンで、小さいころから松井とキャッチボールをしていた。松井は負けず嫌いだった。4学年上の兄たちと一緒に野球をするのだが、松井が一番遠くまでボールを飛ばしていたという。

もともと右バッターだった松井が左打ちに変えたのもこの時期である。しかし、兄たちが中学生になってしまうと、この野球ゲームは自然消滅した。その頃、松井は柔道に興味を持ち、始めることにする。小学4年で160cm、60kgだったので、すぐに強くなり、5年生で出た大会でもいい成績を残す。

だが、野球の楽しさを忘れていなかった松井は、地元のリトルリーグのチームに入る。誰よりも遠くに打球を飛ばし、すぐにレギュラーで4番になる。その頃から、プロになって世界一の選手になりたいという夢を持つようになった。

中学でももちろん野球部に入る。中学の監督はスパルタ指導をした。とにかく松井を走らせた。その頃の松井は変化球が打てなかった。しかし、練習によって打てるようになり、松井に打たれたボールはそのパワーのせいですぐに潰れ、使えなくなってしまった。中学3年になると、キャッチャーからピッチャーに転向する。すぐにチームのエースピッチャーになった。その上、4番でキャプテンである。

その春の最初の試合で、松井は四球で歩かされる。打つ気満々だった松井はバットを投げ捨て、ピッチャーをにらみつける。そこで監督が出てきて、松井を殴り、注意する。松井は、道具を大事にすべきだということ、そして四球で勝負を避けられたからといって怒りをあらわにするべきではないことを学ぶ。

星陵高校に入っても、松井の力はずば抜けていた。バッティング練習では120m以上ボールを飛ばすのである。高校1年でファースト、4番を打つが、甲子園では3打数ノーヒットだった。それで、松井はそれまで以上に努力した。

彼には一つの信念があった。「努力できることが才能である」という、父から贈られた言葉である。

ここから、伝説となる甲子園での5打席連続敬遠、巨人での活躍、メジャーリーガーとしてワールドシリーズMVPなどの輝かしい成績につながっていくわけである。

「努力できることが才能である」。この本を読むと、松井はまさにこの信念を持ち、それを体現した努力型の天才であることが分かる。自分ももっとがんばろうと思わされた一冊だった。
posted by 三毛ネコ at 06:55| Comment(0) | ラダーシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする