2016年12月27日

マスカレード・ホテル

「マスカレード・ホテル」                  東野 圭吾
★★★★



連続殺人事件。共通点は、現場に残された暗号のみ。このホテルで次に誰かが殺される-そんな設定。探偵コンビの誕生でもある。一人はホテルのフロントクラーク、山岸尚美。もう一人は切れ者の刑事、新田浩介。

ホテルにはいろいろな客が来て、様々な出来事が起こる。そんなことを繰り返しながらホテルの業務は成り立っているのだ。

そんな仕事をこなしながら、新田、尚美のコンビは真相に迫ろうとする。しあkし、フィクションとはいえ、取材に基づいているはずなので、実に様々な客がいるものだ、と思わされる。クレームをつける者、浮気現場を押さえようとする者…などいろいろな人間模様が描かれる。

天空の蜂などに比べると、そんなにスケールの大きい小説ではない。しかし、それが悪いわけでもない。小さい事件を解決すると、そこから本筋の事件への糸口が見つかったりする。そんな風にして話は進んでいく。事の真相が見えたと思ったら、さすが東野圭吾、真相はさらにその先にある。

意外性はあり、構成もうまく、犯行の動機も納得できるものである。刑事新田のホテルマン役になじんでいくところも、読んでいてすがすがしい。ホテル業務と刑事事件を上手に結びつけたミステリーである。なかなか楽しませてくれる作品だ。
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2016年12月04日

楽園のカンヴァス

「楽園のカンヴァス」                       原田マハ
★★★★★



アンリ・ルソー。名前ぐらいはもちろん知っているが、作品は見たことがなく、この本の表紙で初めて目にしたぐらいである。特に心が動かされることもなかった。ならばなぜこの本を読むのか、と言われそうだが、理由は「ゼロ」や「ギャラリーフェイク」などの美術マンガを読んでいたから、というぐらいである。評判も良かったので、読む気になった。

ルソーのある作品についての真贋鑑定をするという形のミステリーになっている。著者は、ニューヨーク近代美術館に勤めていただけあって、リアルに美術の世界が描かれる。

私が一番印象に残った言葉がある。ルソーは「アートだけではなく、この世界の奇跡をこそ見つめ続けていたのだ」と。同感である。芸術というと、私たちは何か特別なものを想像してしまうが、実際はこの世にあるもの、この世の出来事を描写しているのである。文学も、絵画もそうだと思う。ただ、私も含めて、一般人にとっては同じものを見てもそれを特別な対象として受けとめる感性が発達していないだけなのだろう。私たちには平凡な風景がある画家には輝いて見えるのだ。芸術は私たちの日常の中にある。そのことを実感させられる一言だった。

「これまでに書かれたどんな美術ミステリーとも違う」との評の通り、私たちが思い浮かべる「ミステリー」とはちょっと違う。殺人も、ダイイング・メッセージもないが、確かに面白い作品に仕上がっている。肝心の謎は、殺人事件ほど劇的ではないが、アートをテーマにして一気に読み通せる小説である。その年、一番面白い作品に与えられる山本周五郎賞を取った理由も分かる。もっとこの作家の小説を読みたくなった。
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2016年11月19日

Number 11/25

「Number 11/25」
★★★★



日本代表、サウジアラビア戦勝利。勝っただけではなく、内容も良かった。高い位置でプレスを連動して掛け、相手に思うように攻撃させない。ボールを奪ったら素早く攻撃に移る。4試合連続ゴールを決めた原口も、やっとハリルが言う「デュエル」の部分が発揮できたと言っている。

清武や大迫の記事もあるが、本田や岡崎に替わって彼らが活躍したのも大きい。

そして原口の記事もある。2014年から肉体改造を始め、ケガをしない体作りをしてきた。そして、トレーニングの内容や身体のケアを手帳に細かく記していた。そんな地道な努力が実り、現在の活躍につながっているのだろう。

「ハリルホジッチの頭の中」と言う記事も印象に残った。ハリルが学ぶものがある、と言うのは今年のEUROの決勝トーナメント1回戦でイングランドを破ったアイスランド。勇敢に全力で戦い、組織的なスピリットが高く、良い守備をする。ハリルのサッカーの方向性はスペインよりアイスランドなのだ。

そして、日本人はおとなしいと指摘している。試合では、感情を爆発させ、表現していかないとやられてしまうと言う。

その点でも、サウジ戦は良かったと思う。プレーしている選手はみんな必死で走り、しっかりと守備をし、攻守の切り替えも速かった。絶対勝つという気持ちが前面に出た試合だった。

後半戦も厳しい試合が続くが、サウジ戦のような日本代表なら大丈夫。きっと、ロシアW杯への切符をつかめるだろう。
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2016年11月12日

一千兆円の身代金

「一千兆円の身代金」                    八木 圭一
★★★



現在の日本の借金、約1000兆円。元副総理の孫が誘拐され、身代金はなんと1000兆円!

日本の財政状態に危機感を持ち続けている者としては、この小説はまさに「我が意を得たり」であった。今まで皆が直面したがらなかった問題を真っ向から指摘している。日本の将来を憂えるメッセージがこの本にはあふれている。しかし、あまり意外な結末ではない。3分の2ぐらいで先が読めてしまう。

ただ、日本に対する警告、問題提起という意味では十分にその役割を果たしていると言える。エンターテインメントという形を取っているので、誰でも気軽に読めるところもいい。政治家にはぜひ読んでもらいたい1冊。
タグ:小説
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2016年11月05日

失われた黄金都市

「失われた黄金都市」                     マイケル・クライトン
★★★★★



主人公はエリオットとカレン、それにゴリラのアミーである。カレンの会社のキャンプのメンバーが全滅した。原因は不明。真相を探るべく、彼女たちはコンゴへ向かうことになる。ちなみに、アミーは手話ができる。

アフリカには財宝がごろごろある失われた都市があるという伝説があるのだ。一行はそれを確かめるためにも現地に向かう。手に汗握る大冒険、果たして結末は…

アミーは手話で人間と話ができる。信じられない人もいるかもしれないが、私はそれは可能だと思う。実際、人間とちゃんと話せるヨウムも存在する。それなら、はるかに頭がいいゴリラが人間と話せるのは不思議ではない。

ハイテクと最新の科学知識を使ったストーリーの展開は著者の得意とするところ。この本にもそれは余すところなく発揮されている。現代の冒険はハイテクを駆使するのだ。内容は冒険小説なのだが、クライトンらしく、単なる冒険だけではない。いろいろな要素が詰まっている。

地球はどこも探検しつくされた感があるが、この本を読むとまだまだ未開の地もあることに気づかされる。

動物の専門知識が得られ、アクションも楽しめるこの作品、読んでみて損はない。
posted by 三毛ネコ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする