2017年03月21日

美女と野獣

「美女と野獣」                   ザンティスミス‐セラフィン
★★★★★



あるところに、金持ちがいた。6人の子にも恵まれ、幸せだったが、子供たちは成長するにつれ、変わってしまう。男の子たちは家のビジネスのことで争い、女の子たちは貪欲になった。

ただ一人、ビューティーという愛称の女の子は素直で優しく育ち、金持ちの父は彼女を特に愛した。

しかし、ある時、家が火事で焼け、父親の船が嵐で沈んでしまって、彼は全財産を失った。その結果、彼らは仕事を変えて農業をしなければいけなくなった。貧しい生活の中でも、懸命に家族を支えるビューティー。

そんな中で、父親の船のうちの一隻が嵐の中でも沈まなかったという知らせが入る。父親はすぐに港へと向かうが、上の2人の娘は贅沢な土産を買うように頼む。一方、ビューティーはただバラのつぼみだけを持ち帰ってくれるようにお願いする。

父親は帰りに、ある城に迷い込み、ビューティーのために一輪のバラのつぼみを切り取って持ち帰ろうとする。すると、醜い城主が出てきて、そのことにひどく怒る。そして、ビューティーを自分によこせというのだ。もちろん、父親はとんでもないと思うが、従うしか道がないことは分かっていた。

約束の日が来て、ビューティーは父と共に城に行く。城主の贈り物のおかげで父親は再び裕福になったが、ビューティーを城に置いて去らなければならなかった。

城主に殺され、食べられることを覚悟するビューティー。しかし、その醜い外見とは裏腹に、本当の城主は・・・

人間は顔ではない、とよく言う。しかし、実際は外見で判断されることが多いのも事実だ。だが、外見と中身は同じとは限らない。この物語は、おそらくリライトされていなければ、うわべに惑わされない本物の愛を描いた傑作だと言える。
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2017年03月14日

バラク・オバマストーリー

「バラク・オバマストーリー」                ニーナ・ウェグナー
★★★★★



オバマ元大統領の伝記。

オバマはハワイで生まれた。母がアメリカ人、父はケニア人。父はハーバード大で経済学を学び、エコノミストとして活躍した。母親もハーバード大大学院で人類学を学び、博士号を取っている。オバマが優秀なのにも納得がいく。

しかし、オバマの父親は決して恵まれてはいなかった。アフリカではブリキ屋根の学校に通っていた。そこからエコノミストに。まさにアメリカン・ドリームの見本のような人物である。だが、オバマが生まれてから両親は離婚した。その後、しばらくして母は再婚した。そしてオバマ一家は継父ロロの故郷であるインドネシアでしばらく暮らす。

そこでの教育では不十分だという母親の考えで、オバマはハワイで教育を受けることになる。ハワイの難関学校に入るのだが、その頃から、自分がアフリカ系であるために、孤独感を持つようになる。勉強をサボってバスケットボールに夢中になったりもするが、それで問題が解決しないことにも気がついていく。

そんな状況でも、クラスでトップの成績で学校を卒業する。

そしてハワイの大学からコロンビア大学に編入する。その間も自分が何者なのかというアイデンティティーの問題と直面していくことになる。大学を卒業して仕事に就くが、自分は人を助ける仕事がしたいことに気づき、転職する。

それから、アフリカへ自分のルーツを探る旅に出て、異母きょうだいと出会い、自分のアイデンティティーを確立する。

その後、多くの人を助けるためには法律を学ぶべきだと考え、ハーバードのロースクールに入る。そこでも優秀な成績を収めたようだ。その後は、実際に読んでいただきたい。

この本を読むと、オバマは若いころから、金を儲けるよりも人を助けるボランティア精神が強かったことが分かる。人格者だったのだ。

リライトされた英文で感動するはずがない、と思っていたが、この本にかなり心を動かされたことは事実だ。

現在のアメリカの混乱ぶりを見ると、オバマとトランプの差がより際立つ。この本の最後にオバマの就任演説の全文が載っているのだが、その演説を最初に聴いて、新聞に載った全文を読んでみたときに感動した。やはりオバマは演説の名手だと思う。

お勧めの本である。
ラベル:多読 英語 伝記
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2017年03月05日

OF MICE AND MEN

「OF MICE AND MEN」                    John Steinbeck
★★★★



力は強いが、少しオツムが弱く、時々トラブルを起こすレニー。彼の面倒を見てやっているジョージ。

彼らは、ある町でトラブルを起こし、別の町に向かっている。子供のようなふるまいをするレニー。

目指す農場に着き、面接を受けるレニーとジョージ。2人はその農場で働くことになる。レニーが問題を起こさないように、ジョージはレニーと共に過ごし、彼の代わりに話す。そしてレニーには誰とも話さないように教えているのだ。

以前、ウィードという町で、レニーは赤いドレスを着た女の子を見て、そのドレスに触った。彼は柔らかくてかわいいものが好きなのだ。しかし、レニーは大男である。その女の子はひどく怖がって、ウィードの農場の人々がレニーたちを追い出したのだ。

自分の農場を持ち、望み通りの暮らしをする夢を語ってやるジョージと、毎日のようにそれを喜んで聞くレニー。

しかし、現在の農場で働くキャンディという男の持ち金と合わせれば、その夢はかないそうなのだ。果たして、ジョージたちは無事に夢を実現することができるのか?

・・・と、このあたりまで読んで、「フォレスト・ガンプ」を思い出した。あの映画も、軽い知的障がいがあるガンプが、軍隊の元上官とえび採り船で事業を始めて成功していた。

しかし、この物語ではそううまくいくだろうか。ラストはショッキングである。そのあたりの描写、説明が不十分で、ちょっと不満が残るが、おそらく、面倒をみてきたレニーに対して、ジョージなりに責任を取ったのだろう。
posted by 三毛ネコ at 13:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 英語 penguin readers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月27日

フィヨルド殺人事件

「フィヨルド殺人事件」                       スティーヴン・スペイト
★★★★



ノルウェーのフィヨルドを見に来た一組の夫婦。周りには誰もいない。絶壁のところで夫婦は立ち止まり、妻は、怖いから戻ろうと言う。しかし夫は、重いカメラを妻に巻き付け、絶壁から下に突き落とす。

しかし、下にはボートに乗った2人の子供がいた。彼らは女性が水の中に落下するのを見た。そして、水の中からカメラのフィルムを拾う。子供たちは警察に通報する。警官は彼らと一緒に現場と思われる場所に行き、ガラスのかけらを見つける。そして、青い毛糸も。警察はこれを事件とみて、捜査することを約束する。

子供の一人、ポールはフィルムを現像してもらうために写真屋に行く。写真の大部分は風景などを写したものだったが、興味深い写真が2枚あった。そこに写っていたのは・・・

犯人は完全犯罪をやり遂げたと思っている。確かにその通りで、証拠はほとんど残っていない。しかし、ポールという子供は刑事顔負けの推理をしてみせるのである。手がかりを追うポール。果たして、彼は犯人の元に辿り着くことができるのか・・・?

推理小説のようだが、犯人は最初から分かっている。フーダニットではなく、子供たちや警察がどうやって推理し、犯人に迫っていくのかが読みどころ。それなりに楽しめる小説である。
ラベル:小説 多読 英語
posted by 三毛ネコ at 12:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ラダーシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月19日

アウトサイダー

「アウトサイダー」                      フレデリック・フォーサイス
★★★★★



「ジャッカルの日」などを書いた、人気作家、フレデリック・フォーサイスの自伝である。

フォーサイスはイギリスで生まれた。パイロットになることを夢見た少年時代。学校が休みの間、フランスやドイツに滞在した。語学が得意で、15歳で、大学進学の資格条件になる語学の試験に合格する。

そして、飛行クラブでパイロットになるための飛行訓練も受けることもできた。16歳のときである。その後、民間のパイロット免許を取る。

17歳で4か国語を話せるようになっていた。

それから、希望通りイギリス空軍に入ることができたのだ。そしてジェット機のパイロットになれたのだが、そのまま空軍にとどまっていてもパイロットは続けられないと分かり、除隊する。

次の夢はジャーナリストになり、世界中を見て回ることだった。そして新聞社に入り、あるきっかけから、何とあのロイター通信の記者になる。特派員として、東ドイツにいたこともある。その間に、フォーサイスの書いた通信文が、あわや第3次世界大戦を引き起こすか、と思われる出来事もあった。

その後、BBCの記者になるが、あくまで公正な報道をしようとしたために居づらくなり、辞表を書くことになる。

BBC時代には、アフリカでの紛争を経験したこともあった。迫撃砲を撃たれながら戦地を脱したこともある。

フォーサイスの小説は2冊しか読んでいないが、上記のような普通の人がしそうもない経験が、後の作品につながっていったことは容易に想像できる。

デビュー作、「ジャッカルの日」がたった35日間で書かれたという記述には驚かされる。「才能」としか言いようがない。

なかなか波瀾万丈の人生で、こんな人生でなければあれだけの小説は書けないだろうな、と思わされた。なかなか興味深く、もっと彼の作品を読みたくなる、そんな自伝だった。
posted by 三毛ネコ at 14:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする