2017年02月12日

A Christmas Carol

「A Christmas Carol」 Charles Dickens
★★★



「クリスマス・キャロル」のリライト版。

スクルージは気難しい男で、金だけを愛していた。性格は冷たく、友人もいなかった。しかし、本人はその状態で幸せだった。

さて、あるクリスマスの前夜においのフレッドがスクルージのオフィスに入ってきた。フレッドは笑顔で「メリークリスマス!」と言うが、スクルージは「何が楽しい?」とにべもない。

その夜、スクルージのところに元相棒だったマーレイの幽霊が現れる。そして、3体の幽霊がスクルージの前に現れると言い残して消えてしまう。その後、窓の外を見ると、鎖をつけた幽霊が外を歩き回っているのが見えた。

スクルージは窓を閉め、何とか眠りにつくが、目が覚めるとまだ暗く、午前2時に寝たはずなのに時計の針は午前12時を指している。そして1時になると、最初の幽霊が現れる。そいつはスクルージを連れて外に出る。そこはスクルージが子供時代を過ごした町だった。自分の過去を見せられるスクルージ。彼にもかつては愛する家族や親しい友人がいたのだ。

その後、2人目、3人目の幽霊が現れ、スクルージは人生において本当は何が大切なのかを悟っていく。

有名な物語だが、スクルージの心境の変化がかなりあっさりと書かれている。そのため、心から満足できる読書にはならないが、短くてすぐ読み切れるので達成感はあった。
【関連する記事】
posted by 三毛ネコ at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 英語 penguin readers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月06日

Level 1 WILLIAM TELL

「Level 1 WILLIAM TELL 」          Friedrich von Schiller
★★★



有名なウィリアム・テルの英語リライト版である。

舞台はスイス。当時はオーストリアの皇帝の支配下にあった。国民はスイスを自分たちの手に取り戻したかったが、そのきっかけをつかめないでいた。

ほぼ登場人物のセリフのみで物語は進行する。オーストリアはスイス国民に重い税金を課していたので、国民は苦しんでいた。それで国民は、スイスの統治者であるゲスラーのところへ陳情に行った。しかし、ゲスラーはその言葉を聞こうとはしない。スイス国民が必要としていたのは、現状を変えてくれる「英雄」だった。

ゲスラーは自分の執務室の前の木に自分の帽子を引っかけて、スイス国民にその帽子を見たら立ち止まり、ゲスラーとオーストリア皇帝に対する愛を示せと言う。心からそんなことをするスイス人がいるわけがないのだが。

その後、有名なあのシーンが出てくることになる。テルの息子が、テルは30メートル離れたところからクロスボウでリンゴを射抜くことができると言い、実際にやってみせることになるのだ。

この物語は子供の時に読んだことがあると思うのだが、息子の頭の上のリンゴを狙って矢を放つシーンしか覚えていなかった。しかし、この話には続きがあるのだ。それは読んでのお楽しみ。

簡単な英語(語彙が300ワード)でリライトされているので、誰でも楽しんで読めるだろう。しかし、このレベルの読み物をバカにすることはできない。私自身、リライトされた英語の小説を100冊読んだら、英語のリーディング力がグンと上がった、という経験をしている。

英語力を上げたいと思っている人はお試しください。
posted by 三毛ネコ at 10:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 英語 penguin readers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月29日

3バック戦術アナライズ

「3バック戦術アナライズ」                   西部 謙司
★★★★★



3バック。何となく守備的で面白くない、というイメージがある。時代遅れという感じもする。そんな3バック戦術を分析し、解説したのが本書である。

オシムとビエルサが非常によく似ている、という説明が面白い。サッカーへの取り組み方が熱心すぎるところ。率いるチームの守備はマンツーマン。ボールを奪った後の切り替えの速さとダイナミズム。どちらも天才的なトレーナーであること。ビエルサのサッカーは見たことがないので何とも言えないが、オシムについてはある程度分かる。しかし、2人とも素晴らしいサッカーを展開するのだが、1シーズンの最後まで戦い抜けずに消耗してしまうので、タイトルはあまり取れないところまで似ているという。確実に勝てるサッカーと理想的な素晴らしいサッカーは違う、ということなのかもしれない。

最初はフランスリーグマルセイユの現監督、ビエルサが採用している3バックの解説である。しかし、彼のシステムは中盤がダイヤモンド型の3-4-3で非常に攻撃的なサッカーだ。守備的で5バックになりやすい3-5-2とは異なる。1章はビエルサについての考察が中心である。

次はグアルディオラのバイエルン・ミュンヘンの戦術を解説していく。戦術好きにとっては非常に興味深い説明だ。

さらに、ブラジルW杯のオランダ-スペイン戦も分析している。オランダは守備的な5バックで臨んだ。対スペインではバイタルエリアをどう守るかが重要になる。結論としては、相手がバイタルエリアに入ると、徹底的に激しいプレスをかけるのが効果的らしい。オランダはしっかりとスペイン対策の守備をしてきたのだ。攻撃でも、相手をよく研究し、その弱点を突いて1点目、2点目を決めている。オランダが勝ったのはまぐれではない。

また、著者はザックジャパンが3-4-3システムを攻撃ではなく守備のオプションとして使っていればどうだったかと言う。守備で両サイドハーフが引いて5バックになっていればコートジボワール戦は逃げ切れたのではなかったかと。W杯を戦い抜くには守備力が決め手になる、と著者は主張する。守備のオプションなしで臨んだ日本は勇敢というより無謀に近かったということらしい。

オシムもジェフ市原では3バックを使っていた。3バックだから必ずしも守備的ということはなく、相手に合わせて変えていく、そのために状況に応じて3バックも使う、というのが正しい理解のようだ。ブラジルW杯でもオランダやコスタリカが採用したように、決して時代遅れというわけでもない。

もう一つ上のレベルでサッカー観戦を楽しめる、そんな分析や情報が詰まった本である。
posted by 三毛ネコ at 14:32| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月22日

神の子

「神の子」                          薬丸 岳
★★★★



IQ161。主人公、町田博史の知能指数である。一度見たものを写真のように記憶できる、まぎれもない天才である。しかし、彼は戸籍を持っておらず、学校にもまともに行っていない。人に対する共感や人間らしい情緒に欠けている。学歴もないため、まともな仕事はできず、非合法の仕事で稼いでいる。

その町田のボスである室井という人物は、犯罪は神の摂理だと言う。また、犯罪は神が求めている、とまで言う。こんな理屈にはまったく共感できないのだが、作品中の不幸な生い立ちの少年少女には説得力を持って響くようだ。

あることがきっかけで、町田は少年院に入ることになるのだが、その後、どんな展開になるのか−。それは読んでのお楽しみ。

ところどころで語られる正論が胸を突く。「自分は人に変われるチャンスを与えてあげたい」、「辛くても厳しい言葉を言ってくれる人こそが自分にとっての光」といった言葉である。作者が伝えたいメッセージは、そういったセリフではなかろうか。

最初はノワールなのかとも思ったが、そういう小説ではなかった。けっこう笑える場面も盛り込まれている。そして、主人公は人の情に触れ、だんだんと変わっていくのだ。人は変われる、いくらでもやり直せる・・・そんなことを思わされる。

しかし、そんなに簡単に話は終わらない。もう一波乱あるのだ。うまくいっていた展開に次々と問題が起こり、事態は悪化していく。そして一気に真相が分かり、エピローグへ…。やはり、人間関係で傷ついた心を癒やすのは人間でしかなく、人を変えられるのは仲間や恋人、家族など周りの人間の愛情である。人は一人では生きていけない、そんな当たり前のことを実感した小説だった。
ラベル:薬丸岳 小説
posted by 三毛ネコ at 12:54| Comment(0) | TrackBack(0) | エンターテインメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月13日

Number 1/26

「Number 1/26」
★★★★★



テニスの2017年シーズンが始まった。日本人として注目するのは、もちろん錦織圭である。

2016年はタイトルこそ1つだけだったが、自己最多の58勝を挙げ、実り多いシーズンだった。今年はどうだろうか?

今号によれば、錦織はマリーとの差は「僅差」だと思っているらしい。実際、去年も全米で勝ったし、手応えはあるのだろう。

一方、ジョコビッチは苦手にしている。まだ有効な対策も見つかっていないという。

2014年は挑戦者として勢いだけでプレーできた。しかし、今は相手も錦織を研究してくるので、簡単には勝てなくなっている。錦織が現在求めているのは「メンタル面の強化」だという。いろんな意味でのタフさが必要なのだ。

具体的に、マリー、ジョコビッチに勝つにはどうすればいいのか。

ジョコビッチは前回の対戦を分析し、ボールの弾道を変えたりして考えたプレーをしているらしい。もちろん、錦織も考えて対策を練っているのだろうが、ジョコビッチを倒せるほどではないということだろう。もう少し攻めに遊びがあり、またネットプレーなどで一試合の中での走行距離が増えればいい、というのがジョコビッチに対する心構えである。

マリー対策は、ファーストサーブに対するリターンの速度を上げ、バックハンドのダウンザラインなどをうまく使いながら展開を早くしていくことだという。

どちらも、簡単にできることではないが、錦織はまだ27歳。伸びしろはまだあるはずなので、何とかマリー、ジョコビッチを超えて日本人初のグランドスラム制覇を成し遂げてほしいのものだ。
ラベル:錦織圭 テニス
posted by 三毛ネコ at 11:51| Comment(0) | TrackBack(0) | Number | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする